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【秘伝】「奇跡の国産バナナ」を生んだ男。永久凍土を農地に
2018/9/10
ありえない風景
バナナ、パパイヤ、マンゴー、コーヒー、カカオ、シチリア産のレモン、グアバ、アサイー……。
たわわに実るそれぞれの果実を目の前にすると、ドラえもんの「どこでもドア」で南国に足を踏み入れたような気分になる。
しかし周囲を見渡せば、そこは岡山市の郊外で、青々とした稲穂が風に揺れている。
たくさんの実をつけたバナナの木の向こう側に広がる水田。これまで日本で見ることがなかった、常識的にあり得ないとされてきた風景を見ていたら、こんな考えが頭に浮かんだ。
アメリカでは、ガレージからイノベーションが生まれた。日本では、昔ながらの田園のなかから革命が起きるのか。
そもそも、なにがあり得ないのか。冒頭に記した果樹はどれも温暖な南方の国々にある植物で、そういった地域よりも気温が低い日本では育たないと言われていた。
日本のなかでも沖縄や小笠原諸島、九州の一部などで栽培されているものもあるが、収穫量はまだ少なく、希少品。冒頭に挙げたどの果実も、日本にあるのはほぼ輸入品だ。
しかし近い将来には、あらゆる南国の果樹が日本で普通に栽培されているかもしれない。いや、従来の生産地をしのぐ収穫をあげているかもしれない。
それだけではなく、もっと寒い地域、例えば冬になるとマイナス40度から50度にもなるシベリアのツンドラ地帯ですら、農地に変わっているかもしれない。
なぜか?
日本人が発明したある技術が農業の、科学の常識を覆したのだ。
その人は、田中節三、69歳。大学の教授でも、企業の研究者でも、植物の専門家でもない彼が生み出した「凍結解凍覚醒法」に今、世界が注目している。
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この連載について
日本食を支える「農業」は、待ったなしの危機的状況にある。就業人口は半減、就労者の平均年齢は66.6歳に達してしまった。米・野菜・果実等の農産物は1990年の6.8兆円から、現在は5.1兆円と減少している。このような状況下、旧来のシステムの外で農業の変革に挑む7人を徹底取材した。