さすが明快ですね。 消費財の世界では「最寄品」と「買い回り品」という言葉があります。「最寄品」は文字通り最寄の店で買うもの、という意味で、極論すれば何でも良いので近いところで買いたい、という意味です。スーパーで買うもののほとんどはこちらに分類されるので「消費者に想起される本当のブランド以外はPBになり、食品会社の多くは下請けのBtoB企業になる」という論旨は納得感があります。その対抗としては本当のブランドを作り、独自販路を持つこと、としていますが、直販(DTC direct to consumer)は、小売りチェーンへの配慮もあり推進しづらい、というのも多くのメーカーの本音です。そこを思いきって舵を切れるメーカー=本当のブランド力のあるメーカーかどうかが問われるということですね
消費財の世界では「最寄品」と「買い回り品」という言葉があります。「最寄品」は文字通り最寄の店で買うもの、という意味で、極論すれば何でも良いので近いところで買いたい、という意味です。スーパーで買うもののほとんどはこちらに分類されるので「消費者に想起される本当のブランド以外はPBになり、食品会社の多くは下請けのBtoB企業になる」という論旨は納得感があります。その対抗としては本当のブランドを作り、独自販路を持つこと、としていますが、直販(DTC direct to consumer)は、小売りチェーンへの配慮もあり推進しづらい、というのも多くのメーカーの本音です。そこを思いきって舵を切れるメーカー=本当のブランド力のあるメーカーかどうかが問われるということですね
高岡社長が言うように、家電業界が辿ったのと同じようにも、食品・日用品の業界でも淘汰の末、BtoBに姿を変える企業が出てくるのでしょう。
記事中にはありませんが、高岡社長に「もし小売の経営者だったら」と伺うと、「セブンの鈴木さんと同じことをしたと思う」とおっしゃられたのが印象的でした。
セブンの鈴木さんは、安かろう悪かろうだったPBを本質をあげて「NBのジェネリック」に変え、セブンプレミアムを1兆円超えのお化けブランドに成長さえています。
小売とメーカーのパワーバランスを決定づけたと言う意味で、鈴木さんが残したものの大きさは計り知れません。今改めて、ご自身の経営者人生の振り返りと、アマゾンやアリババも含めた今後の小売の未来予想について、伺ってみたいです。
PBがはまりやすいのは、フードやファッションなど、いわゆる非型番といわれる領域。顧客の嗜好が多様で寡占化が進みにくい領域。家電に代表される型番の領域は、まだまだNB中心の世界。
本質は、顧客の趣味嗜好が変化しやすい中で、入り口の顧客接点・インサイト、それをいかした商品開発力、その結果として蓄積されていくブランド力をすべて持っていないと生き残れないということなんでしょうね。
グローバルに見てももっともダイバーシティ経営が進んでいて、ネスプレッソみたいなブランドを生み出せるネスレは本当に強いですね
例外的に、ブランドストーリーを語る場としてリアル店舗に直販スペースを間借りすることはあり得る。
これらの高岡氏の見通しは、私が考えるリアル店舗の将来仮説と一致しています。このパラダイムシフトにいかに迅速に対応するかが勝負です。
①卸・小売が取る流通中間マージンを取り込める
②販売情報をリアルタイムで把握できるため、在庫コントロールがし易い
③販売情報+ダイレクトに入ってくるお客様の声を商品開発に迅速に深く活かせる
④売場をコントロールできるため、ブランドや商品の世界観やメッセージを伝え易く、売価もコントロールできる
などがある。
商品×プロモーション×売場を統合され一貫したものにできるが、それらを一筆書きして製造小売業である利点を発揮するには強いリーダーシップが必要である。高岡さんが文中で強いリーダーとして触れられている企業と経営者が、ファーストリテーリング柳井さん、弊社会長似鳥、7&i鈴木さん、と製造小売業ばかりなのも偶然ではないと思う。私自身もナチュラルローソン、JIMOS(PB化粧品の通販会社)、ニトリ、と製造小売業に関わってきており、大好きなビジネス。
先見の明に驚かされます。
「鈴木さんは、海外では当たり前だったPOSデータのメーカー側への開示をしなかったんです」
「そのPOSデータを武器にして、PBの製造を持ちかけます。データが欲しかったら、PBを作ってくださいよと。そう言われると、メーカーもデータが欲しいから作る」
記事に缶コーヒーの事例が出ているが、自販機が重要なのは「近くにあって便利だから」。NBではなくPBの比率が上がるのも、PBの品質が上がって品質差の効用が減って、価格差の効用が占める比率が高くなったからだろう。それを超えてでも買いたいとなるには、中途半端なブランドではダメ。
ブランドといっても、認知する、想起する、購買行動をするというのは、それぞれ強さも違う。コーヒーであればネスレを認知したり想起したりする人はいても、缶コーヒーだとそれは弱まる(逆にジョージアとかが強まる)。また購買行動という点では自販機が重要(配荷の重要性)で、想起までしていても扱われていなかったら買われない。自社が持っている資源と、顧客へのブランド訴求の打ち手がちゃんと効率的に構成されて、そのうえで利益を産める構造になっているかが経営としてはより問われる。
ちなみにここらへんの消費財のブランド→購買行動までの流れは、P&G→USJでトップマーケターだった森岡さんの著書が必見。
小売と同じように重要なのがECサイト。だけど、色々なページを見に行きたいかというとそうではない。
規模と熱烈なファンの量は、ある程度反比例するものだと思っている。そういう意味で、どちらも中途半端であれば、大規模小売では規模(棚やコスト)で負け、直販ECでは熱量に負け、となるかもしれない。二極化していくと思う。
一方で、消費者的に少し懸念があるのは、商品間の競争の低下。
棚を取る競争があるからこそ、新しいことをメーカーはやろうとする。だけど、PB的には同一カテゴリで商品数を絞った方が規模が増えて、効率が良い。規模があるからメーカーとしても稼働を産めるという点でPB生産も引き受ける。集約されていくほど商品の多様性は減っていく。
日本は、逆説的だがメーカーも小売りも集約が遅れたため、商品の多様性が高い。高いゆえに経営効率も悪いのだが(グローバルブランドに比べて利益率が低かったり、マーケティング効率も悪いことが多い)、ただ消費者として色々な種類の商品があり、それが磨かれ、かつある程度安く手に入るというメリットは受けている。
日本でもPBが増えたとはいってもNBも強い。メーカーは量産に関し、原材料から資材等の調達、工場等各種のノウハウ等がある。ただ、PBを効率よく受けるにはロットや時期含め、既存の仕組みの中で工場が受けることが必ずしも利益につながるわけではないし、PB専門の工場の効率にはかなわない。
今の時代、メーカーとして、小売として、何を強みとして持って、何を外部と連携するのか、製造、販売、人財、情報等多層になってきていると感じる。そんな中、個人的にやはり大事だと思うのは、リスクもきちんと取り、顧客の共感できるメッセージを持つ商品や売場なんだろうと。現場、簡単ではないですが選択肢広がっているのかんじます。
だからネスレは、本当のブランド力が生かせるマーケットではないと考え、缶コーヒーから撤退しました。
今の缶コーヒーを見れば一目瞭然ですが、自動販売機の数が勝敗を決するのでどんどんブランド力が弱まり、コンビニコーヒーというPBにマーケットを奪われてしまっています。
こうした現象がいろんなカテゴリーで起こっていて、私の感覚では、生き残るブランド、つまり「本物のNB」は1〜2%くらいしかないと思います。
生鮮食品が食事の中心の日本では、四季ごとに食材が変わり、地産地消が基本なため、物流の観点から再編が進まなかったんです。
だからスーパーは、地域のリージョナルチェーンが強くて、いまだに全国400社もあるそうです。