パナソニック、欧州本社オランダ移転 英EU離脱に備え
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記事を読んで不明を恥じたのが、英国にとどまると租税回避との批判を受けかねないという懸念を持っていることでした。その部分を引用します。
アバディ常務役員は「英国が法人税を下げれば日本から租税回避地(タックスヘイブン)と見なされる可能性がある。15カ月前から検討してきた」と話した。英政府は16年、EU離脱後も企業を英国にとどまらせるため、法人税を当時の20%から順次引き下げる方針を示している。ただ、大幅に法人税が引き下げられると、かえって租税回避と見なされ、タックスヘイブン対策税制の適用で追徴課税を受けるリスクも生まれる。
英国からの企業移転の影響もあって、フランスの不動産はいま猛烈な値上がりをしているそうです。今回の移転先のオランダは英語が通じます。またオランダ人の英語は日本人にはとても聞きとりやすいという利点もあります。今さらながらですが、ブレグジットは間違いだったと思います。にわかに信じがたい、というのがファーストインプレッション。
理由は、そもそも今英国法人税は20%なので、タックスヘイブン税制の軽課税国だからです、つまりこれ以上下がろうが下がるまいがこの問題は数年前から変わらずある。それをなぜ今
「英国が法人税を下げれば日本から租税回避地(タックスヘイブン)と見なされる可能性がある。」
というのか。
もちろんタックスヘイブン税制にはほかにも適用条件があるのでほかの条件で今後該当するかもしれない変化が出てきたから移す、と言っているのかもしれないが、にしても誤解を招く表現。
そもそも適時開示等ではなく一誌向けのインタビューでここまで語るというのも珍しいと思います。
個別論は上記ですが、本件の本質は、国民国家統治の限界というテーマ。
グローバル経済/グローバル企業と、国民国家統治の矛盾であり、徴税が国家が有する数少ない権能であるがゆえの国家間減税競争となっているわけですが、国家ボーダーで議論することが無意味なボーダレス経済となっているゆえグローバル課税をなすべきにも関わらず、当局者の国際調整努力もむなしく、各国の時の政権の国際減税競争によって遅々として進む見込みがないという悲劇でしょう。
等の昔から言われている国民国家統治の限界は、資本主義の限界、民主主義の限界と同じで、「ではほかに何があるのか」という問いへの買いがない以上、次善の策として当面は続きそうだと思います。