この連載について
世界のイノベーションの中心地であるシリコンバレーが、中国の新興企業の「研究」に必死だ。時価総額にして1000億円を超えるユニコーン企業が200社近くも生まれている中国を、NewsPicksが徹底レポートする。
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Alibaba is the world's largest online and mobile commerce company as measured by gross merchandise volume.
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中国アリババグループが、次世代の小売りモデルの「フラッグシップ」として生み出した、盒馬鮮生(フーマー・フレッシュ)の現地取材をしてきました。事前にいろいろな資料をみてはいたものの、目からウロコの連続で、消費者体験としてはアマゾンよりも一歩先を進んでいる仕組みを作り上げているようにすら感じました。
面白かったのは、開店直後は実際にリアル店舗にくる「オフライン」がほとんどにもかかわらず、ひとたび食品や魚介類などが新鮮であると安心すると、次からは続々とオンラインで購入する人が増えるという変化。このフーマーでは、かつての中国ではあり得なかった、魚介類なども「オンライン」で買うようになっていることでした。
アリババは中国全土の購買データをもとに、このスーパーの立地を決めているといい、半径3キロ以内の住民は、スマホアプリを通して、いつでも30分以内で無料デリバリーをしてもらうことができます。もし自分が中国に住んでいたら、まちがいなく「入り浸る」ことを確信しました。
アマゾンとは別の「未来」を描く、ジャック・マーの世界をぜひご一読ください。
最も伸びている分野のひとつです。
最近のニューリテールで勢いがあってみなさんに知っておいてもらいたい企業のひとつがluckin coffee(瑞幸咖啡)。
今中国ではスタバを追い越す勢いで成長していて、先日のシリーズAラウンドでの調達は200億円。
やはりこれもニューリテールの考え方であるオフラインとオンラインの融合。
luckin cofeeの特徴
・店内で飲めるスペースはなくテイクアウト方式が主流
・利益度外視のキャンペーン
コーヒー1杯目無料
2杯購入で1杯プレゼント
5杯購入で5杯プレゼント
・アプリで事前注文、事前決済。
出来上がり時間が5分後等の通知があり待つ必要がない
スタバは日本でもそうですが、いつも並んでいるイメージ。
このluchin coffeeはアプリで注文、購入。指定された時間に取りに行ってもいいし、配達してもらってもよい。
このニューリテールに対抗して、スタバもアリババと提携してデリバリー事業に乗り出してます。
どんどん熱くなるニューリテール業界
目が離せません。
そんな取り組みの目玉であるフーマーフレッシュは、一見すると、宙を行き交う買い物袋とシーフードの生け簀が印象的な、小洒落たスーパー。しかし、中の人の話を聞いていると、自社のECサイトの購買データなども用いて出店計画を練ったりと、さまざまなサービスを傘下に持つ巨人だからこそ持つデータをフル活用している印象を受けました。
また、記事でもほんの一言だけ出ていますが、そこに莫大な労働力を掛け合わせることができるのも中国の強烈な強みです。結局のところどれほどテクノロジーが進化して無人経済だと言っても、表裏ともに現場を支える人はそれなりに必要であり、成長の強い源泉になります。
下記記事も併せてみて欲しいが、コンビニやAmazonは、一種の共同冷蔵庫。そしてそこに在庫を持つ(King HIDIEさんがAmazonの本質と言われている点)。それで儲かるかどうかが決まるのは、結局売り切れる力があるか、稼働がどうなるか。
売れるのであれば、「共同冷蔵庫」という設備の塊の回転率が上がる(単位販売額に占める固定費比率の減少)。また在庫が劣化するリスク(廃棄損)が減るにとどまらず、売り切れる時間とのバランスで品ぞろえを拡充でき、顧客の選択肢が広がる。
実店舗で購買できるから、最初の品質への不安がなくなりオンラインでの注文につながる。実店舗だけでなくオンラインからも売れるので、売り切る力が強くなるし天候要因などにも左右されにくくなる。原材料でも、調理したものも売るので、内食だけでなく中食・外食需要も取り込めて売り切る力が強まる。
これらで売り切る力が強まることで、上記の回転率と在庫の循環が極めて好調になり、さらに規模があるから調達交渉力につながる。
https://newspicks.com/news/1937877
あとは、この業態がどれくらいの人口密度のところで展開できるかがキーだろう。3キロ圏内というのがポイントで、都市型業態ではある。3キロ圏内10万人ということは、人口密度で約3000人で成立する?もうちょっと高くないと厳しい気がするのだが…政令指定都市のある程度の住宅街なら人口密度3000人は超えてくる(日本では地区ベースで約150くらいの地域がある)。
https://uub.jp/rnk/k_j.html
アメリカでebayが「これからの時代はe-commerceではなくx-commerceだ」と喧伝していたのが2010年のInvestors' Dayでの発表でしたがその後あまり広がらず。日本でもO2Oやオムニチャネルなど色々と言われてきましたが、ユーザーのライフスタイルを決定的に変えるようなサービスは出てきていない印象。
リアル店舗の「オールドリテール」にペインポイントが大きいというのもひとつの理由なんでしょうが、色々とある中国のイノベーションの中でも、マネごとやコピーキャットではない本物のイノベーションだなと思う潮流の筆頭がこの「ニューリテール」。日本発ではZOZO SUITがある意味「ニューリテール」的な流れの一つだと思いますが、特にEC化率の低い食の領域での今後のイノベーションに期待します
ユニークなのは、データ解析による需要予測×安い人件費のコラボ。商圏を限ったスムーズな配送や調理サービスでいよいよ生鮮食品のEC(というかデリバリー)が花開こうとしている。
結局これは何が置き換わっているんだろう。やはり買い物に行く手間の外部化、はたまた料理する手間の外部化がより深化するという面が大きいか。
生の海産物の見せ方なんて非常にエンタメ的ですし、決済・事前オーダー・試着などのテクノロジーは、便利というよりおもしろそうだから使ってみたくなる感じ。全体的にテーマパーク感があります。
日本の小売におけるテクノロジーは、効率アップや人手不足の解消がモチベーションになっていて、根本的に思想が異なると感じます。