エンジニア採用の救世主、現る!未経験なのに即戦力の理由

2018/8/27
「エンジニアを採用できない……」。何年も前から多くの企業でエンジニア採用は死活問題だ。優秀で経験のあるエンジニアは企業間で取り合いになるため市場には出てこず、とはいえ中途で未経験レベルだと採用には至らない。

この問題を見事解決につなげ、市場に即戦力エンジニアを送り込んでいるスクールがある。ポテパンキャンプだ。卒業生は全員Rubyエンジニアとして企業に採用され、即戦力として活躍している。

多くの企業を救うかもしれないポテパンキャンプの実態とは。代表の宮崎大地氏とポテパンキャンプ校長で元ジラフCTOの岡本浩治氏に聞いた。
受講倍率5倍、卒業までに3割が脱落
──ポテパンキャンプとはどのようなスクールなのか教えてもらえますか。
宮崎 僕は、これまで3000人を超えるエンジニアのキャリアサポートをしてきたのですが、未経験者の転職はもちろん、古い技術からのキャリアチェンジは本当に難しいんですね。どれだけ勉強していても、実務経験がないと書類選考で落とされる。
 エンジニアになりたい人はたくさんいるのに、多くの企業でエンジニア採用は難航している。この矛盾を解決するため、2017年に立ち上げたのが転職特化型Railsスクール「ポテパンキャンプ」。3カ月での就職を目指すのですが、一般的なスクールとは全くコンセプトが異なります。
 まず、受講に応募するために条件があります。すでに独学やWebサービス、プログラミングスクールなどでRubyを勉強して基礎がわかっていること。そのハードルを超えて応募してくるのは、毎月100人。
 そこから、書類選考や面談を経て、最終的に受講できるのは大体20人です。エンジニアはコミュニケーション能力がないと開発が円滑に進まないので、面談をして、そこも選考しています。
──誰でも受講できるのではないのですね。
宮崎 ちゃんと仕事に就いてもらうことが目的なので、本気の人だけを選抜しています。受講者の割合は、実務未経験が5割、インフラなどWeb以外での経験があるエンジニアが5割ですね。
 ただ、カリキュラムは実践的な内容で、講師も事業会社の元CTOだった岡本さんをはじめ、プロの現役エンジニアが担当。スクールといっても実際の現場で3カ月間OJTを経験しているのと変わらないので、卒業するまでに3割程度は脱落しています。
実際の現場と変わらない課題&厳しいレビュー
──3割が脱落するとは、かなり厳しいですね。どのようなカリキュラムなのでしょうか。
岡本 僕らは、生徒の満足にコミットするのではなく、転職した会社の開発チームの満足にコミットしているので、コードのレビューはかなり厳しくしているんですね。
 課題の出し方も、たとえば架空の社長からの要望として「今のWebサイトにEC機能をつけたい」というお題を出します。それに対して、ディレクターが「商品ページが欲しい」「ページにはこういう要素を入れたい」といったざっくりした要望をまとめて、生徒たちに実装してもらう。これ、実際の現場でよくある光景ですよね。
  細かい設計書通りに開発するタイプの現場は想定しておらず、あくまで自社サービスを持つ会社の開発現場を想定しています。
岡本 こうした課題は複数用意しており、各々が調べたり考えたりして開発に着手します。質問やレビューはオンラインで行いますが、毎週土曜日に勉強会を開催しているので、このときに対面での質問が可能です。
 最初は「この要望をどう形にすればいいのか」で相当悩むと思いますが、まずは自分で考えてもらい、聞きに来たら答えではなくヒントを与えるようにしていますね。
 しかも、きちんと仕事をやりきって欲しいので、課題に期限は設けていません。もちろん、卒業は3カ月後を目指しますが、遅くてもいいのでクオリティ高く仕上げてもらい、合格したら次の課題に進んでもらいます。
宮崎 ただ、レビューが厳しいからなかなか合格しないですよね。
岡本 コードの書き方などクオリティを重視しているので、6人の現役講師のうち2名がOKを出さないとやり直し。実際の現場はそこまで厳しくやらないので、卒業生からは「現場より課題の方が厳しかった」と言われますよ(笑)。
入社後1週間で、企業の開発チームで即戦力に
──そこまで徹底しているから、実際の実務経験がなくても企業は採用できるのですね。
宮崎 それが最大の強みです。企業に代わって、現役エンジニア講師が3カ月の厳しいOJTを行っているイメージですね。
 ポテパンキャンプはスタートして約1年ですが、毎月複数名のRubyエンジニアを輩出しています。卒業生はコードを読む力や正しいコードを書く力が身についているから、1週間程で戦力として活躍していますよ。
 その活躍が予想以上で、未経験エンジニアの採用枠を増やしてくれた事例もあるほどです。
岡本 卒業までに4つの課題をクリアしてもらいますが、3つ目をクリアした頃から、実際の会社で簡単な作業をしているエンジニアよりレベルが高いと思うんですね。新卒OJTの1年後と、ポテパンの3カ月後はニアリーイコールではないでしょうか。
──レベルが高いですね。卒業生は、どのような会社に就職されているのでしょうか?
宮崎 Readyforさんやオウチーノさん、さくらインターネットさん、GA technologiesさんなどです。それ以外にも、50社以上のWeb系企業さんと連携していて、来月以降、卒業生は毎月数十名出る予定なので、これからが楽しみです。
岡本 卒業生全員がRubyエンジニアとして就職できているのは、現役から見てもすごいことだと思います。就職して落ち着いたら、土曜日はポテパンの講師としても活躍してもらいたいです。
宮崎 そうですね。実績が出始めたことで、口コミで応募者はものすごく増えています。
 他のスクールで学んでから受けにくる方もかなりの数いらっしゃるので、これからもRubyエンジニアとして働くための登竜門として、たくさんのエンジニアを輩出したいと思っています。
未経験を経験者に。活躍するエンジニアを輩出する
──実践的スクールで、即戦力エンジニアを生み出しているポテパンキャンプ。エンジニア採用の新しい形として定着しそうですね。
宮崎 どこの会社もエンジニアを正社員で雇用したいけれど、プロダクトにブランドのある会社やエンジニアブログが充実している会社でないと、大金を積んでも大手からベンチャーまで採用難なのは間違いありません。
 しかも、物理的に人口が減少するため、その流れは今後もっと加速するでしょう。でも、ポテパンキャンプ卒業生はRubyエンジニアとして最初のステップを踏みたいというモチベーションがとても高いんですね。
 実務未経験のため、最初は未経験レベルの年収からのスタートで合意が取れるにもかかわらず、徹底的に現場力をつけてもらっているので、早いタイミングから戦力になる。
 これからポテパンキャンプ卒業生を次々と世に送り込むことで、日本のIT産業や新しいプロダクトの創出、新たな雇用、経済に貢献していきたいと思っています。
増田 当社はエンジニア採用に苦戦していて、優秀な人ほど動機形成から採用に至るまで時間がかかっていました。そんなあるとき、プログラミングスクールをのぞいてみたら、未経験だけど意欲高く学んでいる人がたくさんいたんですね。
 これはもしかしたら、未経験層にも可能性があるのではないかと思って、以前からお付き合いのあったポテパンの宮崎さんに相談しました。
 紹介されたのは、ポテパンキャンプ卒業生で経理出身の30代の方。お会いすると、サービス思考など当社の価値観がすべて合致。実務は未経験ですが意欲も高かったので、すぐに採用を決めました。
 入社後は、コードの書き方は素晴らしいし、即生きる技術も持っていることに驚きましたね。最初はお試しの意味も込めて小規模タスクから始めてもらいましたが、1カ月後には大規模タスクをお任せしました。実務未経験で入社したとは思えないレベルです。
 しかも、もともと経理の方だからなのか、「早くメンバーやマネージャーの負荷を減らせるようになりたいから、もっと技術を磨きたい」と、人を支えたいマインドを持っていて、チームやマネージャーからの評判はとても良いです。
 今後もエンジニア採用はポテパンキャンプ卒業生を頼りたいと思っています。
(取材・文:田村朋美、写真:岡村大輔、イラスト:砂田優花)