ビル・ゲイツのように成功した人、オプラ・ウィンフリーのような独自の「王国」をもつ人、あるいはベンジャミン・フランクリンのように、世界中に信奉者を持つ人──。彼らはそうした成功を「週に5時間」で成し遂げてきた。あなたはどうやればその5時間を見つけられるだろうか。

「仕事の時間」を意図的に短くする

フルタイムで仕事をしているアメリカ人は、平均で1日8.56時間せっせと働いている。起業家の場合はこの平均値をはるかに上回り、競争に勝つために週に95時間も働いている。
こうした仕事中毒を支えているのは、あと少し時間をやりくりし、ほんの少しでも多く競争力をつけたい──そんな考え方だ。
しかし、最も成功を収めているイノベーターのなかには、ビジネスでは時間をかければかけるほど得るものが多いという考えに同意しない人もいる。
ベンジャミン・フランクリンは、日々のスケジュールの中にビジネスとは関係ないことのための時間を組み込んでいた。ビル・ゲイツやオプラ・ウィンフリーも同じことをしている。
要するに彼らは、自分の1日のうち「仕事の時間」を意図的に短くすることで、良い決断をし、より生産的になるために必要なエネルギーを得ることができると気がついたのだ。こうした人たちが日々実践する習慣を「5時間ルール」とまとめることができる。

1日1時間を自己成長に割り当てる

このルールの前提は、思いのほかシンプルだ。平日1日につき60分を捻出し、成長と職業的な発展のために費やす。鍵となるのは、捻出したその時間を賢く使うことだ。
ただ何となくニュースフィードを眺めたり、Slackの至急のメッセージに時間を取られたりしていてはいけない(そういうメッセージはいつも至急に思えるものだ)。
たとえばその1時間に本を読み、日記に自分の思うことを書いて過ごすことができる。新たに得た情報を今後どのように使って、よりよい決定につなげていくかも考えよう。そして、より強力になった意識とともに日々の仕事に臨むのだ。
クリエイティブかつ瞑想的に考えるのがうまくなれば、脳が鍛えられて、問題をこれまでとは異なった方向から見られるようになるだろう。
セールスの電話が難しいと悩んでいるときは、顧客を惹きつけられる革命的な方法を思いつけるかもしれない。予算が少なくて頭を痛めているときは、もしかしたら予算を拡大できる大きなチャンスに気がつけていないのかもしれない。
もちろん、一生を通して学び続けるこうした人たちの仲間になるためには、何らかの方法が必要だろう。どうやって毎日1時間を捻出するかわからないという場合は、以下のアドバイスが参考になるかもしれない。

1. 自分を支援してくれる人を周りに置く

責任を負わなければならない仕事の山から逃れることは、難しいかもしれない。周りの人に協力を頼んで、目標に向かってあなたが学び続け、目標に集中することができるよう支援してもらおう。そうすれば、順調に進むことができる確率がほぼ倍増する。
職場やコミュニティで、マスターマインド・グループ(同じ目標を持つ人の集まり)を立ち上げることにより、5時間ルールにチームで取り組むこともできる。
グループなら異なる視点を提供してもらえるし、あなたが目標に力を注げるように手を貸してくれるかもしれない。ほかの人たちに向けて、「1日に1時間を確保する」という目標の達成を妨げている問題の解決に、力を貸してくれるよう頼んでみよう。

2. 早起きをする

朝の5時には、ベッドが心地よく感じられるだろう。夜型人間ならとくにそうだ。しかし、よい目覚めは、あなたの神経回路を妨害されずにジャンプスタートさせる確実な方法だ。
少なくとも週に1日は朝、心を意識し、マインドフルネスを実践しよう。電子機器は離れたところに置いておき、フランクリン流に日記や良書を手にしてみよう。あなたの目を開き、世界に対する理解を広げてくれることに没頭して、1時間を過ごそう。

3. ランチタイムを振り返りの時間に

朝早く起きられない、あるいはその時間はもうジムに割り当てているという人もいるだろう。それなら、ランチタイムに心を休ませることもできる。
完全にスイッチを切るためには練習がいるが、これができれば、よい状態で平日午後のスタートを切れるだろう。ランチタイムは不可侵な時間と考え、午前中にあったことを振り返るといい。午後と夜の活動に関して、個人的な成長目標を設定しよう。

4. 実験をする

ベンジャミン・フランクリンは数多くの実験をした人で、遠近両用メガネを発明したり、雷が電気であることを発見したりした。凧と鍵を持って雷雨の中を出かけたい人は多くはないだろうが、あなたもちょっとした実験をしてもいいかもしれない。
たとえば、能力はあるのに、それに見合った仕事ができない社員がいるとしよう。あなたが以前に試したことは、効果がなかった。1時間を使って、その社員のやる気を上げる方法をブレインストーミングし、思いついたやり方をテストしてみよう。
うまくいくかもしれないし、いかないかもしれない。だがどちらにしても、今後似たような状況があったときに対処しやすくなるだろう。

5.「働くことで学べる」という考えを捨てる

学ぶための唯一の方法は働くことだと思い込んでいないだろうか。たしかに、よく考えたり、反省したりすることが必要な仕事もある。だが残念ながら、あなたはおそらく、ほとんどのタスクを自動的に行っている。自分の労力から学ぶための時間を取ることなく、ただ行動し反応しているだけだ。
職業的な成長をするためには、働かなければならない。それでも、あなたがやることが、みな同じことの繰り返しであるなら、本当に自分を成長させているわけではない。ただマッスルメモリーを強化しているだけであり、それはあなたの知識を広げることとは異なる。
だから、1日1時間を見つけて本当の学習に充てることが非常に重要なのだ。
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5時間ルールが自分の役に立つかどうか確信が持てない人は、試しに1カ月やってみよう。これはテストだと考えて、そのプロセスを受けいれよう。そして、最初と最後にあなたの精神的な能力を評価しよう。自分の個人的な成長の度合いに驚くかもしれない。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Rhett Power/Head coach, Power Coaching and Consulting、翻訳:浅野美抄子/ガリレオ、写真:Gearstd/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.