「見切り販売はしたほうが儲かる」 コンビニ11店の損益計算書を分析(井出留美)
コメント
注目のコメント
この記事の分析の質の是非はさて置き、立ち位置を意識した見方が必要です。記事の趣旨は、見切り販売をした方が儲かるから、本部は薦めないがやった方がいいという趣旨です。
1. コンビニ加盟店オーナー
商品の価格の最終的な決定権はオーナーにあるので、見切り販売をやるにあたって、法的な問題はありません。しかし、考慮するべき事はきちんと考慮する必要があります。
①商圏の縮小
コンビニ1店舗あたりの人口は減る一方です。今後も後数年は減り続けるでしょう。見切り販売をする事で、客数が増えるならばやる価値があります。客数が減るなら要検討です。
②売上の減少を加味したシュミレーション
この店舗の1店舗目と、2店舗目は売上が約2億円だそうです。単純に365日で割ると1日あたり55万円です。セブンなら平均以下、ファミマとローソンなら平均よりやや上です。これらの店舗が、売上を上げる力のある店なのかが重要です。上げているならその経営手法は、学ぶことは良いことです。
③複数店を持たない覚悟
見切り販売をしたら、複数店を持てない可能性が高くなります。店舗あたりの人口が少なくなる事は、単店の収益率が減る事です。この時代に、単店でやりきる覚悟は持った上で、見切り販売をやる必要があります。
2,コンビニ本部
人不足、高齢化、商圏人口減少など社会が大きく変わる中で、ビジネスモデルの修正は必要です。しかし、見切り販売を推奨すると、他の部分を修正しなくてはいけません。
①3便制の変更
常に新鮮な商品を提供するために、朝昼晩に食事を提供する3便体制が生まれました。しかし、値下げ販売を効率的に行うには、1日2便もしくは、1便制の方が効率が良くなります。しかし、それを行うと、製造物流の効率が悪化する可能性もあります。悪化すれば、店舗も含め粗利が低下します。
②個店最適と全体最適は異なる
見切り販売を行う少数店舗で、利益が増えたとの事ですが、それを全体で行ったら、全店が利益が増えるかは難しいかもしれません。
③システムの最適化
値段変更を簡単にできるシステムが必要です。また、きちんと分析できる形でデータを残せるかも大切です。本気で見切り販売をやるなら、現状のシステムではきついかもしれません。
フランチャイズは、仕組みをロイヤリティで買うシステムです。1つの点で評価するのではなく、全体を見る必要があります。このひとの立場でいいたいことは分かるんですが、11店の損益計算書を分析と書いておきながら、結局4店(2/3弱切り捨てるって)の分析で結論づけている、反証を簡単に許してしまう駄目な分析の例。
分析は言うまでもなくヒドいですね。
内容によって母数が違うし、売り上げや損益は年単位の比較なのかどうかも書いてない。
結論ありきで書いたのでしょう。
普通に考えれば、儲かるかどうかなら儲かるでしょう。
フランチャイズ本部が嫌がるのは見切り販売による価格の崩壊でしょうね。
また、当然見切り販売で売れた分、他の製品は売れず発注も入りませんから、本部は嫌がる。
当たり前ですね。