【完全解説】焦るJALとANA。「LCCに本腰」の理由を教えよう

2018/8/3
ANAとJALが、格安航空サービス「LCC(ローコストキャリア)」にアクセルを踏み始めた。
先に動いたのはANAだ。今年3月、傘下のLCC「ピーチ・アビエーション」と「バニラ・エア」の統合を発表、LCC事業を強化するという。
さらに今年5月、今度はJALがLCCへの参入を発表。2020年の就航を目指し、7月31日に準備会社を立ち上げたばかりだ。
LCCへの新規参入を発表した、JALの赤坂祐二社長(写真:Bloomberg via Getty Images)
しかし世界を見渡せば、LCCはすでに競争の激しいビジネスだ。日本勢がLCCに及び腰だった間に、多数の海外プレーヤーが参入している。
なぜ、いまさら日本勢はLCCを強化しようとしているのか?
しかも、である。これまでLCCの主戦場は、飛行時間が4時間以内の「短距離路線」だった。
ところがJALがこのたび設立した新会社は「中・長距離」のLCC。ANA傘下のピーチ+バニラ連合も、これまた2020年をめどに「中距離」路線に参入すると表明している。
もともとLCCは、フルサービスの航空会社に比べて、圧倒的な低コストを武器に、「短距離路線」において顧客の支持を集め、低運賃にもかかわらず利益を出してきた。
しかしこれが中・長距離となれば、利益を出すのが難しく、フルサービスキャリアとの差も薄れる。
実際、世界的にも中・長距離路線に乗り出しているLCCは少ない。乗り出しているいずれの会社も、満足に利益を出せていないのが現状だ。
それなのになぜ、日本勢は「中・長距離路線」に手を出そうとしているのか。
最新ニュースをわかりやすく解説する本連載「NewsPicksニュース」では、本日より3回に分けて、LCCの最新事情をお届けする。
第一回の本日は、JALとANAがここにきて中・長距離に参入する「本当の狙い」を探る。その狙いを理解するためにも、まずは、今さら聞けない「LCCのビジネスモデル」について丁寧に解説していこう。

短距離LCCの「コスト構造」