独政府、中国企業による買収却下へ 規制強化を初適用
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ドイツの「対外経済法」については、現行の25%の外国出資比率を引き下げるという議論が進んでおり、所管するアルトマイヤー連邦経済エネルギー相の発言でもこれに触れている。
他方、中国はドイツの最大の貿易相手となっており、経済界からは「放っておいてくれ」という声も強い。
日本はドイツのレベルまで、中国との経済関係を深めていないが、秋以降、日中経済が次のレベルに進む可能性がある。2016年により重要な、Kukaという産業用ロボットの世界シェア上位ドイツ企業を中国Midea(美的集団)が買収しました。それを引き金に安保ならびに技術流出の観点で昨年独政府は外資による買収規制を導入、その発動1号案件が本件、といった流れです。
コンシューマ向けに比べ地味な産業IoT分野においてこの流れはインドや東南アジア含め世界各地で水面下で加速しています。
米中のみならず、あるいは一般貿易のみならず、サイバーセキュリティ、技術標準化、データエコノミーらの分野については欧州もGDPR導入や米国ITメガに対する公取による相次ぐ巨額制裁金等々、米中の文脈とは異なるものの保護主義的姿勢が日に日に強まっています。
俯瞰してみれば将来の歴史の教科書には、第三次世界大戦ないしは第二次冷戦は、テクノロジー冷戦という形をもってして、トランプ政権の誕生、超大国化した中国の習近平超長期政権樹立、ブレグジット等によるEU不安定化が同時多発した事により2017年頃より勃発した、という記載になるのかもしれません。
経済もテクノロジーも、ミクロの企業・個人による競争が基本前提ですが、上記のような局面を鑑みれば日本もマクロ的な観点で立法・行政のプロアクティブな対応は必要でしょう。返す返すも、もし米国の政権が、最初から中国だけに絞って通商交渉を仕掛けていたら、かなり絵柄は違っていたのだろうと思います。ある意味で中国には、思わぬ猶予が与えられていたといもいえ、そこで軟着陸の体勢を整えるのか、それとも、一気に攻め込んでしまうのかが問われていたのかもしれませんね。