【完全解説】ビル・ゲイツが惚れ込む「遺伝子テクノロジー」の全貌
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注目のコメント
日常的にクリスパーを使用しています。
使用に対してあまり規制がない細胞であればネットでチョチョっと調べてテキパキやれば1〜2週間でノックアウト(目的の遺伝子を欠損させる)が出来ます。
この技術ができる前の研究室の先輩方のノートを見て、ノックアウトベクター(ノックアウトに必要な小さな環状遺伝子)を作るだけでかなりの時間を要し、苦労しているのを感じました。
研究スピードが格段にあがる、とんでもない技術だなと驚いた記憶があります。
クリスパーを作ったといわれるダウドナ博士は自ら書いた本のなかで
「この技術が核兵器にも匹敵する恐ろしい技術に繋がる可能性がある事に気づいた」
と述べていますが、それは研究を発表してからの事で、やはり研究している段階ではそこまで発想が及ばなかったそうです。
彼女は核兵器と同じ轍を踏まないために、様々な努力をしています。その現在について興味があったのですが、目次を見る限りあまり深く触れなさそうなのは少し個人的に残念です笑
20180729追記
最終回にダウドナ博士インタビューとは
恐れ入りました笑CRISPR-Cas9。2012年に誕生したこの遺伝子編集技術で、人類は遺伝子を1文字単位で書き換えるテクノロジーを手にし、大きく世界が変わろうとしています。
今回は、このCRISPRまでの遺伝子の歴史から、CRISPRの仕組み、そして、その未来についてスライドで解説します。
映画「ガタカ」で描かれた、人類が受精卵から完全にデザインされた未来が可能になるかもしれないほどのインパクトを持つこの技術。本記事に出てくるフェン・チャンは「ジュラシックパーク」を見て、遺伝子編集の世界に入ったほど。SFの世界がそう遠くない未来にあるのかもしれません。
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Yamazaki Tさんにコメント頂いた「当時にそんなものを予測していた哲学者は到底いないのではないか」という質問についてですが、実際に今の遺伝子につながるアイデアは、ムカジーの『遺伝子』によると、アリストテレスの「動物発生論」以降になります。
ピタゴラスは、精子が身体を駆け巡って遺伝情報を集め、身体の各部分からの秘密の指示をうけとるという「移動図書館説」を唱え、また、プラトンは『国家』において、両親から子供を数学的に導き出せる、とする妊娠の定理の存在を指摘しています。
そして、アリストテレスの「動物発生論」はピタゴラスの「移動図書館説」を批判する形で、男性だけでなく、子供は母親の提供する情報と合わせた、男性と女性が提供する物質相互の関係で形作られるのではないかという「動物発生論」を唱えました。しかし、神聖ローマ帝国の錬金術師、パラケルススによって「前成説」が唱えられてからは、ダーウィンの進化論を経て、メンデルの法則が登場するまで、遺伝という概念が登場することはありませんでした。Googleが買収したDeepMindが「倫理委員会」の設置を条件にした、という話ではないですが、AI以上に爆発的な可能性と倫理的なリスクを孕む遺伝子テクノロジー。究極の個人データともいえる遺伝子のゲノムコードの解読と編集(あるいはそもそもの設計)を、人類は善なる方向に使っていけるのか。
『サピエンス全史』の最後に出てくる、人類の幸福に向けた「我々は何を望みたいのか」という問いがグッと迫ってくる気がします。