【ルポ】シリコンバレーの「次」。バイオとテックが出会う場所
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躍動感が伝わってくるルポ。エディジーンの詳細な現地記事も貴重です。
一方で、バイオテク、とりわけメディカルや製薬の分野関係者の中ではずっと前から中心地である認識があると思います。今でもボストンへ戻る機会がありますが、シリコンバレーの次というより、CRISPR/Cas9を始めとして遺伝子工学的に生命に機能を簡単に付加できる技術の発見が火付けになって、一気に遺伝子情報に関するビジネス機運と認知度が特にあがったという印象です。また記事の中にもある「CIC」「Lab Central」や「BioLabs」の存在も大きいと思います。
今回はバイオ”テック”にフォーカスがあたっているのですが、これらを育てる土壌にあるのが対岸のロングウッドメディカルエリアや、世界中から集まる医療機関です。是非何かの機会に特集して頂きたいです。
通常、病院経営を考えると総合病院が近傍に位置していては経営維持が難しいはずなのですが、対岸のロングウッドメディカルエリアにはハーバード大学医学部を中心としたアフィリエイトシステムで病院・研究所が密集しており、世界中から最新の治療や研究を求めて患者や研究者、医療従事者が集まります。
HMS Affiliates: https://hms.harvard.edu/about-hms/hms-affiliates
バイオテックの多くは診断、検査、医薬品、医療機器、治療という規制産業でビジネスを行うことになるのでそこで重要になってくるのは「安全性」です。これらを担保するために特に医薬品医療機器業界は臨床試験をクリアしなければなりません。
早い段階からトライアンドエラーを繰り返して行っていくITなどのビジネスとは違い、特に臨床試験に入ってから製品の仕様を変えていくことができない仕組みになっています。開発段階からそれらのプレイヤーとインプットが確実に入る環境を整えないと、とても商品を上市することはできない領域です。
そういった観点からは、ケンブリッジやボストンを含めた東海岸のグレーターボストンの存在感は不動のものに感じます。
注目のコメント
この20年近く、イノベーションの中心はシリコンバレーでしたが、今回訪れたケンブリッジでは、確かな熱狂を感じました。
CRISPRや、合成生物学と、テクノロジーが、混ぜ合わさり、新しいイノベーションを生み出していく、そんなダイナミズムを感じられたのは、貴重な経験でした。
なんとか、このバイオの分野で、日本からも新たな胎動を感じられた嬉しいと思っています。米国ひいては世界のバイオ産業の黎明は、なんと言ってもジェネンテック社です。80年代にUCLAから芽生え巨大バイオ企業として成功、その後アムンジェン等、多数のバイオ企業を輩出しました。それは全て西海岸でした。
90年代に「第二のインターネット」ともてはやされそのピークを迎えたものの、インターネットがドット・コムバブルを乗り越えて長期的に発展したのとは対照的にその後失速傾向となりました。理由のひとつは、ジェネンテックがロシュに買収されるなど、主要なバイオ企業が軒並み大手傘下に入りイノベーション生成能力が削がれた事とされています。
バイオは長期に渡る多額のR&D投資を要することももう一つの理由ですが、それゆえ大学を中心にクラスタ化します。西海岸が失速したのを尻目に、90年代から着々と取り組んできたMITやハーバードがこの数年で隆盛となった形です。冒頭で名前が挙がっているDavid Liu先生は毎年CNS(Cell, Nature, Science)に複数本論文を出す化け物です
先生のバックグラウンドは化学であることから、バイオをやる上で化学の知識と経験がいかに重要か分かります
https://cen.acs.org/biological-chemistry/biotechnology/Inventor-chemist-CRISPR-craftsman-Inside/96/i16