【ルポ】シリコンバレーの「次」。バイオとテックが出会う場所

2018/7/24

「総本山」からスカウトされた男

「ここが世界の中心だ」
最初にかけられた一言が、今も胸に刻まれている──。
7月某日、米ボストン地区ケンブリッジを訪れた。最初に接触したのが、革命的テクノロジーCRISPR-Cas9(クリスパーキャス9)の「総本山」ともされるブロード研究所に所属する相田知海だった。
ブロード研究所は、CRISPRの開発者の一人として知られるフェン・チャン氏が所属する研究所で、MIT(マサチューセッツ工科大学)とハーバード大学が共同で設立した。特集でも記した通り、CRISPRの特許をめぐっては2陣営が激しく対立しているが、今や特許数では、ブロード研が大きくリードしているとされる。
ヒトゲノム計画を率いたエリック・ランダーや、CRISPRの技術開発をリードするデビッド・リュウなど、生命科学の「スーパースター」が集まっていることでも知られる。
相田が、世界最先端のこの研究所にスカウトされたのは、3年前のことだった。