ROBOやBOTZなど大量の資金を失うロボティクス関連株ファンドが続くなか、ブラックロックが同種のファンドを導入した。新しい技術が市場にあふれるいま、未来の先進テクノロジー関連株に連動するETF(Exchange Traded Fund:上場投資信託)が続々登場している。

競争激化で大量の資金失うファンド

ロボティクス関連株や人工知能(AI)関連株に連動する大規模ファンドは、ここ数カ月大量の資金を失っている。それでも、このブームに乗ろうとする運用会社の動きは止まらないようだ。
ブラックロックは6月28日「iシェアーズ・ロボティクス・アンド・アーティフィシャル・インテリジェンスETF」(IRBO)の導入を発表。競争が激しく、このところ大量の資金が失われているこの分野への参入を決めた。
この分野では「グローバルX・ロボティクス&アーティフィシャル・インテリジェンスETF」(BOTZ)が直近2カ月間で1億1500万ドルという記録的な額の資産を失ったほか、「ロボ・グローバル・ロボティクス&オートメーション・インデックスETF」(ROBO)も4月から現在までに1億2100万ドルの資金を失っている。
ブルームバーグ・インテリジェンスのシニアETFアナリスト、エリック・バルチュナスは「ブラックロックは資金潤沢な運用会社だ。やや遅いタイミングでの参入や、トレンドが定まってからある程度経過した段階での参入が許される企業なのだ」と説明する。
「これほど多くのセールス担当者を抱えている企業が、ロボティクスのオプションを提供するというのは良いニュースだ。価格が他社より安いため、一定の投資家を呼び込むことになるだろう」
IRBOの手数料は、運用資産1000ドルごとに4.7ドルだ。これに対し、BOTZは6.8ドル、エクスチェンジ・トレーデッド・コンセプツが取り扱うROBOは9.5ドルとなっている。

新たな狙いはARやVRの注力企業

一方、こうした先進テクノロジー関連投資のブームに乗じて、勢いを失っていたブランドの再生を目指す小規模ファンドもある。
米証券取引委員会(SEC)に提出された書類によると、エクスチェンジ・トレーデッド・コンセプツが、ウェアラブルテクノロジーを対象としていた「WEAR ETF」(WEAR)を「タクタイル・アナリティクスAR/VRバーチャル・テクノロジーETF」(ARVR)に衣替えすることが明らかになった。
ARVRはウェアラブルテクノロジーではなく、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)に注力する企業の株式に連動したファンドになる予定だ。AI関連やロボティクス関連の株が含まれるかどうかはわからない。
WEARは2016年12月に立ち上げられたが、これまでに獲得した資産の額は100万ドルに満たない。
これに対し、ARに特化した企業など「革新的テクノロジー」に取り組む企業に連動した2900万ドルのファンド「アルプス・ディスラプティブ・テクノロジーズETF」(DTEC)は、2018年に入って2600万ドルほどの資金を獲得している。DTECはスタート以来、資金の流入が毎月続いているのだ。
ブルームバーグ・インテリジェンスのバルチュナスはWEARのブランド変更について「ビジネスの観点から見てうまくいっていないテーマを選んで変更するという、このアイデアは評価できる」と語った。
「保有額は重要だが、パフォーマンスを高めることと、投資家の関心を呼ぶことはもっと重要だ。今回の取り組みは、この両方の目的をうまく達成している」
(協力)Carolina Wilson
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(執筆:Olivia Schaber記者、翻訳:佐藤卓/ガリレオ、写真:nevarpp/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.