【匿名対談】億り人たちが明かす、仮想通貨の「不都合な真実」

2018/7/11
2017年に仮想通貨投資によって1億円以上の利益を税務申告した「億り人」は、331人だったと国税庁が発表した。
ところが昨年12月のピーク時、1BTCあたり200万円を突破して沸き立っていた市場価格は、今や3分の1ほどの相場で推移している。
あの時、仮想通貨長者として、世間から嫉妬や羨望(せんぼう)のまなざしを集めた億り人たちはどうなったのか。
NewsPicks編集部は、合計4人の仮想通貨長者による座談会を実施。仮想通貨にかかわる損失や詐欺コイン、情報格差や投資グループの対立など「不都合な真実」を語ってもらった。
*参加者4人はすべて匿名。それぞれ①ポイン(30代男性、資産1億円以上)、②502おじさん(年齢非公開、個人法人資産合計1億円以上)、③レッドストーン(20代男性、資産数千万円)、④ライダー(30代男性、資産数千万円)。
(写真: Peter Cade via Getty Images)

1億4000万円が「溶けた」

ライダー 直球でいきましょう。結局のところ、仮想通貨で儲かったとか、損したとかいう話が、みんな大好きですよね。そこから話しましょうか。
僕は1年間トータルの仮想通貨の収支が、今のところ「マイナス1億4000万円」になってますからね。スマートフォンのアプリ画面を見せましょう。
はい、これです。
(写真:後藤直義撮影)
ポイン え、ウソでしょう。
表示されているケタ数が多すぎて、何かのバグにしか見えませんね。どうしてこんな状態になったのですか。
ライダー これは2018年1月に仮想通貨全体が暴落した時に、ビットコインのFX(証拠金取引)をやっていたため、すべて溶かしちゃいました。
実は200BTCという規模でFX取引をしていました。2017年後半にずっと価格が上がり続けていたので、少しくらい価格が下がってきても、また必ず戻るだろうなと。
完全な錯覚ですが、もはや脳ミソがマヒしていました。
ある日、仮想通貨に投資をしている仲間と「今日は6000万円も資産が減ったなあ」とか軽口をたたきながら、ご飯を食べていました。
そうしたら価格下落が止まらなくて、数千万円単位のロスカットを2回も被りました。その時にやっと「あれ、僕のお金、もうなくなってるじゃないの?」と我に返りました。
ポイン そこまで落ちないと、自分の資産が「なくなっている」との実感がなかった。
ライダー 念のため原資として入れた400万円と、税金の支払いに必要となる金額は日本円にして抜いていました。そういう意味では、致命的なダメージは受けていません。
まあ損益を見るたびに気分がアップダウンする人は、仮想通貨とは絶対に関わらない方がいいでしょうね。
502 まったく同じタイミングで、私もお遊びのつもりでビットコインのFXをやってみました。そうしたら、たった1日でマイナス1300万円というザマで。
ものすごく悲観するタイプなので、もう家族にも言えないし、誰とも話したくないしで、3日間そのまま寝込みましたね。