【亀山敬司】仮想通貨は買うものじゃない。学ぶものだ

2018/7/10

貯金の裏にある「思考回路」

もともと実家は商売人だからね。
俺も子供の頃から、うどん屋とか海の家とかを手伝いながら「お金は自分で稼ぐもの」という考え方が原点にある。だから、欲しいものがあれば稼いで手に入れる性格だったね。
だけど、多くの人は、収入を増やすより支払いを減らすことを考える。
特にサラリーマンの場合、生涯所得が大体わかるので、決められた給料でどこまで快適に暮らそうかという思考回路がベースにある。
だから、休日に考えるのは、Tポイントをどうやって貯めようかとか、どこのネットショップが安いのかとか、興味あるのがお得な節約情報ばかりになるよね。
でも、未来は生涯所得が担保されにくい時代になるよ。節約とかもAIが得意とする分野だよね。だから、これからはプライベートな時間も、節約に頭を使うより、「もっと稼ぐための勉強」に頭を使ったほうが得だと思う。
「どうやったら稼げるのか?」ってネタは、日々更新されている。
DMM会長の亀山敬司氏(写真:野村高文撮影)
NHKやニューズピックスを見れば、新しいテクノロジーやビジネスモデルは紹介されている。そういったものを見て、必要な能力やダメになる業種を理解すれば、これから何をやれば稼げるかが少しは分かってくる。
そしてそれをもとに、新しいプログラミングやテクノロジーでも、中国語やベトナム語でも、簿記やMBA(経営学修士)でもいいから、興味あるものから勉強していけばいいと思う。あるいは、ジムで運動して筋肉をつけておくのもいいよね。
稼ぐには、いざという時の体力も必要だからね。

重宝されるのは「稼ぐ力」

「会社に入っちゃえばこっちのもん」という、サラリーマンの時代は終わりを告げて、会社に利益を与えた人の収入が上がり、そうじゃない人の収入が下がる。そんな成果主義がますます増えてくる。
これはどんなに法律を変えても、大きな流れは当面変わらない。
会社が利益を上げるには、売上を増やすかコストを減らすかしかない。そして、今後増えるAIとかはコストダウンのほうが得意だから、稼ぐ力のほうが重宝される。
「俺の指示に従えー!」と言っていた上司が、「自分の創造性を磨けー!」と言い出すよ。自分のことは棚にあげてね(笑)。
でも、これは若者にはある意味チャンスだよ。頭の柔らかい若者のほうが変化にはついて行き易いからね。
むしろ、オッちゃんのほうが悪戦苦闘だね。いろんなことを一から勉強しないといけない。「ICOってなに?」「AIって何ができるの?」って。
 (写真: Jeremy Maude via Getty Images)
肩凝りをほぐそうと「てもみん」には通ってたオッちゃんも、硬くなった頭をほぐしに「ヘッドスパ」に行かないといけなくなった(笑)。
AIやロボットでルーチンワークが減って、創造性が重視されるというのはそういうことだからね。何か能力を身につけるか、何かを引き受けないと稼げないからね。
節約しないで無駄遣いをしろと言ってるわけじゃないんだ。「自分に稼ぐ力がつくように、お金や時間を投資しろ」ってこと。

稼ぐのは「自由」のため

子供が自由でないのは自分で稼げないから、親の世話になってるから言うことを聞かないといけない。だから、自分が生きていく分は最低限稼がないと、大人になっても自由には生きれない。
親の保護を離れたとしても、会社の世話になっているようでは自由になれないね。「嫌になったらいつでも辞めてやる」と言えるくらい、会社と対等に付き合えるように、どこでも稼げる力はつけておこう。
およその収入でいうと、一人で最低限生きていこうと思ったら年収200万円くらいは要る。家族など守るものがあれば、400万円は要る。ちょっといい生活をしようと思ったら、800万円は稼げるようになりたいところだね。
これからの時代は、会社の寿命より、人間の寿命のほうがずっと長くなる。
リアル店舗はどんどん潰れるし、なんでもかんでも自動化だらけ。大手企業や公務員でも明日はどうなるか分からない不確実な社会。つまり、どんな人でも、2回、3回と転職をする可能性がある。
だから、今の会社でしか使えない能力や人間関係だけでは、リスクは高いかな。
(写真: Chris McGrath via Getty Images)
それに会社にしがみつくことしかできないと、セクハラされても、パワハラされても、その会社を辞めることができないじゃない。つまり稼ぐ力を手に入れるってことは、自分の人生の自由を手に入れるってことなんじゃないかな。
法律がどんなに厳しくなって雇用が守られても、待遇までは守ってくれない。ウチは「終身雇用を目指す」とは言ってるけど、定期昇給や年功序列を目指しているわけじゃない。
例えば、衰退産業から成長産業へ営業マンを移行できたとしても、その中で営業成績を上げるのは本人の力次第になるね。
会社ができることは、伸びる事業を作り続けて、会社都合でリストラにならないようにするだけ。他社より稼ぎ易い環境を与えるだけだからね。