「最短」かつ「最速」で「最大」の成果を出す思考法

2018/7/3
歯科医師として国内外から患者が殺到するクリニックを経営しながら、累計120万部のビジネス書作家としても活躍中の井上裕之氏。本業も副業も大成功している秘訣は何か。

井上氏の衣食住の生活習慣にフォーカスした前編に続き、今回は氏が日々心掛けている習慣をもとに、どのような意識が最高のビジネスコンディションを作るのかを伺った。(全2回)
「感じのいい人」「傾聴できる人」が成功する
55歳になって思うのは、「40代まで自分の欲望のために頑張り続けてきてよかった」ということ。
周りを見ても、特に30代や40代は、自分の欲望を自覚し、それに向けてがむしゃらに頑張ってきた人ほど成功していますね。
そうして周りから評価されて権限も持つようになると、自然と、自分を育てて助けてくれた社会に恩返ししたいという気持ちが湧いてくるんです。
だから40代までは、会社のため、社会のため、というより、自分の欲望をエネルギーにして仕事をしてほしい。ひいてはそれが社会貢献になるんです。
自分のしたいことを淡々と続けて良い人とつながっていれば、必ずチャンスは来ます。
良い人とつながるには? 
もちろん、自分が「感じのいい人」であることが条件です。仲間意識を持って親切にしてあげると、お互いに心地よく仕事ができます。
そうすると人は「またこの人と一緒に仕事がしたい」と感じ、次に次にとつながっていきます。
一方、自己主張が強い、人に対して否定的なタイプは、たとえ成功してもその状態は長く続きません。
あなたの周りを思い浮かべてください。感じが悪い人とは、積極的にお付き合いしようという気持ちになりませんよね。
さらに、成功している人ほど、相手の話を聞いて、受け入れてあげている人が多いことに気づきます。
仮に価値観の違う人とでも、感じよく受け入れてあげると、相手との関係性も悪くなりません。ところが、そこで自分を主張すると、ぶつかってしまう。
自己主張は、相手から求められた時だけすればいいんです。
承認欲求との付き合い方
よくある会話例を出しましょう。
「最近、週末は何しているの?」「テニスやっているよ」「テニスやってるんだ。いいね。僕は今スカイダイビングをやっているんだよね」
質問した側は相手に話を振っておいて、その話を深く聞こうとせず、すぐに自分の話にすり替えています。結局自分の話をしたいだけで、相手の話には興味がないわけです。
往々にしてスペックが高い人ほど、自分の主張ばかりして相手の話を聞こうとしません。本来、スペックより、相手に合わせることのほうが大事なんです。
「そうはいっても、つい自分の話をしてしまうんだよね」というあなたは、自分を認めてほしいという感情に振り回されているのかもしれません。
常に相手の立場で考えるように、意識チェンジしてください。
「自分を認めてほしい」という感情は、相手も同じ。常に相手の立場で考えると、「そうだね」と聞いてもらいたいはず。
そして何か不安があれば「大丈夫だよ」と言ってもらいたい。マネジメント側の人間は特にこの声がけをするようにすると、職場関係は今よりずっと良くなるはずです。
(写真:Django/iStock)
「最短」「最速」で「最大」の成果を出す
私は仕事に取り組むときは、3つのキーワードを自分に問いかけています。
「最短」かつ「最速」で「最大」の成果を出すためには何をしたらいいか。
考えているうちに、目的とプロセスが明確になってくるんです。
例えば、「いつかA社と契約が取れたらいいなあ」とぼんやり夢想している時と、「最短、最速でA社の契約を取って最大の成果を出すためには何をすべきか?」と考える時とでは、思考の内容が変わってきます。
ただ、ここで気をつけてほしいのは、「性急に成果を出す」ことが、「最大の成果を出す」わけではないこと。
「最大の成果」を出すために信頼関係を構築する過程は必須。そこで、先ほど申し上げた「感じのいい人柄」「相手の話を聞く姿勢」が生きてくるわけです。
もう一つ大事なのが、「ちょっとした気遣い」。
例えば喫煙者の場合、「喫煙可能な場所だからタバコを吸う」のではなく、その周りに非喫煙者がいないかどうかを見渡したうえで、喫煙すること。
また、SNSに写真をアップするときも、単に「自分が楽しいから出す」のではなく、これをビジネスの相手が見たときどう評価されるか?を意識して写真やコメントを投稿することです。
こうしたちょっとした気遣いがビジネスパーソンとしての価値を決めるんです。
一人の時間を大切にすると見えてくる
友達といる場では友達が、家では家族が評価します。人より10倍の収入が欲しければ、人より10倍の気遣いをすることです。
微差の積み重ねが大差となり、成功の分かれ道になってくるのです。
そういうと、「常に気を張っていないといけないのは苦しい」と言われるかもしれません。
リラックスしたいなら、一人だけの時間をもって、大切にすることです。
ドライブ、運動、読書、一人旅etc……。
一人でいることによるメリットは多分にあります。自分と向き合う時間を作っていく中で、自分の潜在的な欲求に気づくことだってあるでしょう。
(写真:lechatnoir/iStock)
孤独な環境は、自分の目標に対してシンプルに欲しい情報だけを取り入れていくことができます。自分で選択して自由に行動できます。
ところが集団の中にいると、どうしても周りの影響を受けてしまうし、周りに気を使うことで行動しにくくなる。
おのずと自分にブレーキがかかってしまうわけです。
成功を妨げる3つの「心のブレーキ」
人は自分が頑張ろうと思っても、どこかで心のブレーキをかけてしまうときがあります。心のブレーキは3種類あります。
まず、「調和」のブレーキ。出る杭は打たれる世の中、無意識のうちに、自分だけが突出することに躊躇(ちゅうちょ)してしまうことはありませんか?
次に、「常識」のブレーキ。悪い状況にいるときこそ前に進んだほうがいいのに、「常識」や外部から飛び込んでくる「情報」がブレーキをかけてしまう。
私もよく言われてきました。多忙なスケジュールに対して「井上先生、そんなに生き急いでどうするの?」「診療日数を減らして他の仕事をすると、患者さんが減るよ」などなど。
だけど振り向いてみたら、そうアドバイスしてくれた人たちの大方は成功していません。
3つ目に、「我慢」のブレーキ。我慢して自分のすべきことと違うことをやっているときは成長しません。
苦しい時にこそ、「なぜ苦しいのか」「これは本当に自分に向いているのか」を突き詰めて考えてほしい。
能力は周りが補ってくれる
こうしたブレーキを取り払って前に進んだ時、助けてくれるのは「自分がしてきた努力と周囲のフォロー」です。
努力とは、技術の研磨だけでなく、前編でお話しした衣食住の習慣でもあり、人に対して感じよく振る舞ってきた習慣でもあります。
こうした習慣があれば、仮に能力が不足していても周りが補ってくれるし、自分を引き立ててくれる人が現れます。
努力は自発的なものですが、能力は周りが作ってくれるんです。
(構成:桜田容子 編集:奈良岡崇子 デザイン:九喜洋介)