ゲノム編集で生まれた「スーパーピッグ」──数年内にイギリスで市販か
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注目のコメント
論文をみるといわゆる第3世代ゲノム編集技術であるCRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)を用いたものですね。ノーベル生理学賞も時間の問題でしょうか。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29925651/
ブタ受精卵において、標的となるPRRSウィルス受容体であるCD163タンパクの一部の遺伝子部位をガイドRNAで同定し、Cas9タンパクで切断することで、ウィルス耐性を付与するというものです。
第2世代技術のZFNやTALENでは、標的部位と結合させるタンパクをその都度作成しなければならなかったのに対し、標的と相補的な配列のRNAを用意するだけでいいので、自由度が高い上に、安価で多重化も容易になります。この方法が発明されたのが2013年ごろなので、バイオテクノロジーの進化と進展の速さに驚かされます。
英国はEU加盟時はEUの厳しい規制がありましたが、来年のBrexit以降は農業政策も自主権を取り戻すので、この事例のように離脱によって競争力を得る分野もあるかも知れません。ゴーブDefra(環食農)省大臣も、ゲノム編集に積極的と言われています。
このブタが野に放たれた場合、仮に遺伝ドライブ特性があると、既存種に耐性遺伝子が広範に伝搬する可能性があり、一般の飼育環境への解放には慎重な研究が待たれます。
さらに今後懸念されるのは、こうした農産品だけでなく、ヒトのゲノム編集がどうなるかです。この技術を使って、病気に強い人間が生まれるかも知れません。既に英国では7日間で破壊されることを条件にヒトの杯にCRISPR/Cas9を使うことを2016年2月に認めています。
さらに中国では86人のゲノム編集例があるとのことで、倫理的な議論が技術に追いつかない感じですね。
https://gigazine.net/news/20180123-china-gene-edit-crispr/
追記
遺伝子組み替えとゲノム編集は根本的に違って安全というコメントがみられますが、確かに原理的に偶発的なエラーは起きにくいですが、CRISPR/Cas9は一般的に第2世代に比べるとオフターゲット(標的外の切断)が起きやすいので、必ず狙い通りにゲノム編集が出来ているとは限りません。