【W杯勝利】「サランスクの奇跡」を呼んだ、西野監督の3つの独自性

2018/6/20
コロンビアが優勝候補の1つにあげられていたこと、そして日本の前評判が著しく低かったことを考えると、「サランスクの奇跡」と呼んでいいだろう。
日本は前半6分に香川真司がPKを決め、前半39分にFKを決められて1度は同点に追いつかれたものの、後半28分に本田圭佑のCKを大迫勇也が頭で合わせて勝ち越しに成功。W杯初戦を2対1の勝利で飾った。
見方によっては、相手のミスに助けられたと言える部分もある。前半3分、香川のシュートをMFカルロス・サンチェスが手で防いで一発退場。日本は約90分間、1人多い状況で戦うことができた。午後3時キックオフで30度近くまで気温が上がり、これが大きなアドバンテージになった。
ただし、相手にミスを引き起こすのも実力のうちだ。今回、大きかったのは香川と大迫の個人技だ。
前半3分、昌子源のヘディングのクリアを、香川はトラップせず、ワンタッチで前線に浮き球を送り込んだ。このトリッキーなプレーに相手の反応が遅れ、大迫とDFダビンソン・サンチェスが弾んだボールを競り合う形になる。
そのとき大迫は力まずに伸びやかに当たったのに対し、ダビンソン・サンチェスはパワーでぶつかりに行ったため体勢を崩してしまう。まさに「のれんに腕押し」状態。大迫の得意な体の使い方だ。
大迫のシュートはGKに止められてしまうが、こぼれ球に香川が走り込んで足を振り抜き、カルロス・サンチェスのハンドを誘発した。ブンデスリーガで活躍する2人の「世界レベルの個人技」によってつかんだPKだった。
試合直前、大手ブックメーカー「bwin」は、コロンビアの勝利に1.78倍、引き分けに3.50倍、日本の勝利に5.50倍というオッズをつけていた。大きな番狂わせだったことは、このオッズからもわかる。
冒頭の香川と大迫のプレー以外にも、細かく追えば多くの見所がある試合だった。だが、それは他メディアに譲り、本原稿ではあえて俯瞰した視点でコロンビア戦を捉えたいと思う。「日本サッカー協会のオーガナイズ」、「西野監督のマネジメント」という2つの視点だ。