[シドニー 14日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が発表した5月の雇用統計は、就業者数が市場予想を下回る伸びとなった一方、失業率が昨年11月以来の水準に低下した。労働市場はまだら模様の状況で、賃金の伸びは緩やかなものにとどまる見通し。

失業率は5.4%と、4月の5.6%から低下。過去1年近く、5.4─5.6%の範囲で推移している。

就業者数は前月比1万2000人増加し、市場予想の1万8000人増を下回った。フルタイム就業者は2万0600人減少。一方、パートタイム就業者は3万2700人急増した。

労働参加率は65.5%と、4月の65.6%からやや低下した。ただ、女性と高齢者の参加が増えていることから、全体の参加率は2011年の水準近辺にとどまっている。

コムセクのチーフエコノミスト、クレイグ・ジェームズ氏は「失業率がさらに低下しない主な理由は、職を求めて労働市場に参加する人が増えているからだ。労働参加率は過去最高に近い水準にある」と分析した。

労働力の供給が需要に見合う形で増えているため、賃金や物価への押し上げ圧力が後退し、オーストラリア準備銀行(RBA、豪中央銀行)が近く利上げを行う状況とはなっていない。

コムセクのジェームズ氏は「人材不足が広範な賃金の上昇につながり、販売価格も押し上げているという確証が得られるまでは、金利は据え置かれる見通し」と述べた。