(ブルームバーグ): 13日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が発表する政策決定は、以下の長期的な政策テーマ5つについて市場が理解を深めるきっかけになるかもしれない。

1.過熱感

5月の失業率は3.8%まで低下してきた。注目されるのは3月のFOMC経済予測で示された4.5%の長期失業率予測が引き下げられるのかどうか、その場合はどのように変更を説明するのだろうかだ。長期の失業率予測が下方修正されれば、今の低失業率でも労働市場はまだ過熱していないとの示唆になり得る。一方で、長期失業率予測が下がらない場合、景気は過熱への道を着々と歩んでいるとの当局の認識が示唆される。つまり、もっと多くの利上げ、あるいはインフレ加速が予想される。

2.中立の足音

引き締めでも緩和でもない中立金利は2.9%とされている。3月の時点では、これを上回る3.4%に政策金利が達する2020年が、緩和から引き締めに転じる時期と予想されていた。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は当時、この政策軌道は景気に対してやや抑制的だとしつつ、長期の予測は「極めて不確実」だと指摘。米金融当局内では中立金利を超えた水準への利上げを巡り、意見が分かれている。TDセキュリティーズのアナリストチームは、中立水準で利上げ停止という考えが支持を増やせば、「2019年もしくは20年にドットが実際に下がるというリスクが浮かび上がるかもしれない」と分析している。

3.ガイダンスの余命

フォーワードガイダンスはいずれなくなる可能性が、議事録やパウエル議長はじめ当局者の発言に示唆されている。声明から「金融政策のスタンスは引き続き緩和的」との一文と、「FF金利は今後しばらく中長期的に有効となる水準を下回る可能性が高いと予想している」の一文が削除されるかどうかが焦点となる。パウエル議長は3月に、すべての会合後に記者会見を開く可能性を検討していると述べており、ガイダンスだけでなく、広い意味での意思伝達についても議論があるかもしれない。

4.どこまで縮小

米金融当局はこれまで、超過準備の付利(IOER)を目標レンジの上限から5bp下に設定することを検討していると示唆してきた。実効フェデラルファンド(FF)金利の押し上げにはテクニカルな要因も作用しているが、銀行準備が不足気味になっている兆候とも考えられる。米金融当局がそう考えた場合、バランスシートをどこまで縮小させるか、そして将来、FF金利をどう管理するかという議論が起きるかもしれない。

5.新興国市場との摩擦

米金融政策が国外の金融状況に与える影響について、パウエル議長は「たびたび誇張されている」と発言している。しかしインドやインドネシアの中央銀行から、米当局をけん制する発言が出ており、パウエル議長に対して、世界経済を意識した質問が浴びせられることは間違いない。議長の受け答えに、何らかのハト派のサインが表れるかもしれない。

原題:Powell’s Fed Could Clear Up Mysteries Puzzling Investors (1)(抜粋)

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