【論考】日本の「進化」が止まった理由

2018/6/16

『ジャパン』はなぜ負けるのか

「アメリカ、日本、中国の3カ国は世界のトップに立つだろう」
世界を代表するサッカージャーナリストの一人である、サイモン・クーパーは、2009年の書籍「Soccernomics(邦題:「ジャパン」はなぜ負けるのか)」で、サッカーを制する次の勢力について、こう予言していた。
だが、2018年のサッカーW杯が始まった現時点で、日本FIFAランキングは61位。王者に向かって駆け上がるどころか、むしろ落ち始めているのが現状だ。
なぜ、日本の成長は止まったのか。
NewsPicks編集部は、サッカーをピッチ内外の様々なデータから分析した同書の2018年度版を上梓したクーパーと、共著者のスポーツ経済学者、ステファン・シマンスキーに、その要因を直撃した。

「中心」から「周縁」へ

──2009年の『Soccernomics』で、将来のW杯優勝国として、日本を筆頭有望株の一つに挙げていましたね。それはまず、なぜだったのでしょうか。
クーパー 1970年代から2000年ごろまで、サッカーの知識の「中心」は、常に西ヨーロッパにありました。ドイツやオランダなど、EEC(欧州経済共同体)の6つの創設メンバーが中心となり、主要なトロフィーを独占していたのです。