【独白】2兆円を束ねる、サントリー「狂気と理性」の経営学

2018/6/5
サントリーには、次の社長を確約された人物がいる。創業者、鳥井信治郎のひ孫にあたり、現在副社長を務める鳥井信宏だ。
飛行機の移動ではエコノミークラスが多く、会食で使うのはカジュアルな店ばかり。創業家ながら、謙虚な人柄として知られている。
1997年にサントリーに入社した信宏氏は、赤字だったビール事業を立て直し、数千億規模のM&Aを担当するなど、着実に経営トップへの階段をのぼり詰めてきた。
だが、その派手な実績とは裏腹に、この2〜3年、信宏氏がメディアの前に出て、自らの考えや経営観を語ることはなかった。そしてそれは、社内でも同様だったという。
「社内で評判の良い信宏副社長ですが、飲み会ではほとんど仕事の話はしない。彼の考えや経営論を知る人はほとんどいません」(サントリー関係者)
NewsPicks編集部は今回、信宏氏への貴重なインタビューの機会を得た。少し緊張した様子ながら、独特の関西弁で、自らの半生とオーナー経営のポイントについて語ってくれた。
サントリーの創業家は、会長の佐治信忠がフォーブス億万長者ランキングで孫正義、柳井正に次ぐ3位になるほどの資産家一族だ。そんな創業家に生まれた男の、素顔に迫った。