サイバー対策の新常識、アメリカ企業が導入する「ミリタリー方式」

2018/7/11

マスターカードを守る元特殊部隊

窓のないその施設では、壁一面のモニターが次々に仕掛けられる攻撃をトラッキングしていた。頭上の目盛りの表示によれば、過去24時間の攻撃件数は26万7322件。毎秒約3件のペースだ。
数十人のアナリストが、プログラムコードで埋め尽くされた画面を見つめている。
彼らの間を歩き回り、絶え間ない警告を監視しているのは、アメリカ陸軍特殊部隊デルタフォースの元隊員だ。イラクやアフガニスタンで戦った彼は今、サイバー泥棒という新たな敵を相手にしている。
「テロリストや麻薬カルテルの場合と大差ない」。米マスターカードが構えるこの施設の創設者、マット・ナイマンは配下の従業員を見渡しながらそう言う。「危険な組織は基本的に、同じような手法で活動する」