(Bloomberg) -- 三井住友フィナンシャルグループは、石炭火力発電事業への融資方針を見直す可能性を示唆した。海外では、二酸化炭素(CO2)排出量が多く環境への負荷が大きい石炭火力発電事業への融資を停止する銀行が増えており、邦銀はこうした動きに後れを取っていた。

三井住友Fの国部毅社長は14日の決算説明会で記者団に対し、「石炭火力発電は相対的に低コストであると同時に、気候変動への影響が大きいことから、当該事業に対する与信方針についてはさらなる厳格化を検討している」と語った。

気候変動の抑制に向け、世界の銀行業界では石炭火力発電事業への融資を停止する動きが広がっている。国際非政府組織(NGO)バンクトラックによると、三井住友F、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループの邦銀3メガグループは、世界の石炭火力発電事業に多額の資金を融資している。英HSBCホールディングスは4月に新規の石炭火力発電所への融資を停止する方針を示し、仏ソシエテ・ジェネラルやドイツ銀行も同様の方針を提示している。

三井住友Fは、既に環境リスクの視点を織り込んだクレジットポリシーを作成しており、国部社長は「環境に著しく悪影響を与える懸念のある融資等は行わないことを明記している」と述べた。

上智大学の藤井良広客員教授は、「経営判断という意味でも石炭火力向け投融資の魅力は低下していると思われ、見直しは当然の判断」と指摘。「ただ、欧米の金融機関も一気に脱石炭にかじを切ったわけではなく、一定の比率等を導入している場合が多いので、そうした対応に倣おうとしているのだろう。投融資に際してのルール化を模索している段階。厳格化というより、明確化だと思う」との見方を示した。

第一生命は先週、海外の石炭火力発電向けプロジェクトファイナンスを新規に実施しないと表明。グリーンピース・ジャパンなどの環境保護団体はこの決定について、「日本の金融機関として初の石炭関連事業からの融資撤退方針の策定であり、先進的な取り組み」として評価した。

原題:Sumitomo Mitsui Signals It May Curb Coal-Fired Power Financing(抜粋)

--取材協力: Gareth Allan .

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