戦争を招きかねない「イラン核合意離脱」、トランプの真意は
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トランプ政権内の反イラン論者にとって、問題なのは核開発ではなく、シリアやイラクなどの中東諸国へ積極的に介入していく外交政策なのでしょう。イランの革命防衛隊をはじめとする対外積極派の外交政策は、革命防衛隊を含む現体制のあり方、つまり、イスラーム共和制において体制護持を体現するイスラーム学者や革命防衛隊が莫大な権限と予算を得ていることに由来します。革命体制の輸出は、1979年の革命以来のイデオロギーに沿うものでもあります。その意味では、反イラン論者たちにとって問題なのは、イランの現体制そのものなのでしょう。
イラクなどは、米国にしてみれば、湾岸戦争以来、膨大な出費をして民主化を進めてきたつもりが、親米民主国になるどころか、むしろイランの同盟者になっており、果実の収穫を奪われたように見えるのでしょう。
イランの現体制は経済制裁で崩壊するほどヤワではありません。外交もそれなりに巧みであり、米国の強引なやり方を非難して、ロシアや中国、できればヨーロッパ諸国も味方につけようとするでしょう、イランには、核合意自体は順守してきた、という言い分があります。短期的に核兵器ないしは原子力発電が完成できなくても、イランにとってそこまで深刻なことではありません。
経済制裁でつぶせないとなると、軍事的措置を含む手段を用いねば、イランの現体制をつぶせません。イスラエルやサウディアラビアは米国による軍事的措置を切望しています。イラン国内を攻撃しなくてもシリアやイラクでイラン革命防衛隊への攻撃を継続することで、イランを疲弊させるという選択肢もあるでしょう。
本当は、イランの現体制を無力化したければ、ひたすら経済交流を進めてイラン国民を豊かにしていくというやり方もありえます。それでもあるいはイランの体制は維持されて中国のような独自の体制の経済大国になるかもしれませんが。なぜこの核合意が”期限付き”であることが報道されないのか、非常に疑問です。
個人的には、この核合意は、単に問題を15年間、先送り・棚上げしただけにしか見えないのですが…
・第29回原子力委員会定例会議
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2015/siryo29/index.htm
・包括的共同作業計画 JOINT COMPREHENSIVE PLAN OF ACTION (JCPOA)
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2015/siryo29/siryo1.pdfトランプ政権によるイラン核合意からの離脱は、アメリカが国家として約束したことを反故にしたことになる。ユネスコから脱退したり、TPPから離脱した態度と同じだ。こうした姿勢に対してヨーロッパ諸国からの批判は非常に強く、トランプ政権下のアメリカは、完全に信頼を失ってしまった。その反動で、EUは結束を取り戻しつつある。もちろん、これを契機に仏独首脳がEUの結束を強めようとしているのは事実だが、そでだけではない。