【千葉雅也】副業2.0時代の「大人の勉強の哲学」

2018/5/12
副収入が目的の「副業1.0」から、「トランジション(=変身)」や「リフレクション(=振り返り)」が目的の「副業2.0」の時代へ──。副業も広義の意味で勉強だ。
勉強=変身と捉えるベストセラー『勉強の哲学』の著者で、立命館大学准教授の千葉雅也に、大人が変身するための勉強の定義や方法論について聞いた。

「自分テンプレ」を書き換えよ

──千葉さんは、「勉強とは自己破壊」であり「変身すること」だと定義されました。そして、「(勉強することとは)これまでのノリで出来ることができなくなる」こと、だと。つまり、「今のノリでいたい人」は勉強する必要はない、ということですか。
千葉 世の中には、あまり自分を変えたくない人もいます。僕はその権利は尊重したいと思っています。
千葉雅也(ちば・まさや)
立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。1978年栃木県生まれ。2012年東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(表象文化論コース)博士(学術)課程取得。学生時代から大陸哲学、特にフランス現代哲学を専門的に研究し、東京大学修士論文、パリ第10大学Master2論文、東京大学博士論文に至るまで、一貫してジル・ドゥルーズの哲学をメインテーマとしている。著書に『勉強の哲学――来たるべきバカのために』文藝春秋等。39歳。
──勉強は、「変身するために不可欠」だからこそしんどいことだ、とも指摘している。
それはもう、しんどいことですよ。勉強とは、自分にわざとストレスを掛けることですから。
でも “わざとストレスが掛かっている状態”だからこそ楽しいということは、多々あります。例えば、ゲームやスポーツをやっている時がそうですよね。
ゲームもスポーツも勉強もストレスがかかっている状態だからこその楽しさがある。向こうにあるレベルアップが見えるからだろう。(写真:noLimit46/iStock)
──確かにそうです。
ですから、“わざとストレスが掛かっている”ネガティブさをポジティブに転化したい人ではないと、勉強なんてしんどいことは出来ないと思うんです。