[東京 26日 ロイター] - 新日鉄住金 <5401.T>は26日、2019年3月期の単独粗鋼生産は4200―4300万トンへの回復を目指すとした。18年3月期には、設備トラブルなどで前期比195万トン減の4067万トンに落ち込んでいた。

宮本勝弘副社長は会見で「設備トラブルに対する手当てをすれば回復できる」と述べた。また「5000円のマージン改善を掲げていたが、これには届いていない」と述べ、引き続き、鋼材の値上げに取り組む考えを示した。さらには、副原料や物流費の上昇、他国に比べて日本の鋼材価格が割安な点からも、鋼材値上げが必要だと指摘した。

2019年3月期の業績見通しについては「主原料価格および鋼材価格の動向が不透明で現時点で合理的な算定、予想を行うことができない」として開示を見送った。トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト13人の経常利益予測の平均値は3428億円となっている。

米通商拡大法232条に基づく、鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限の影響については「米国への輸出は70万トンで特殊なものだ。代替が効かないので、関税が上がっても、使い続けると思う。それほど大きな影響はない」としながらも「米国の対応に他国が貿易障壁を立てると、自由貿易の阻害になる。憂慮している」と懸念を示した。一方、同社の米国生産拠点は、価格上昇などの恩恵を受けることになるという。

2018年3月期の連結経常利益は前年比70.5%増の2975億円で、会社計画の3000億円には届かなかった。年間配当は25円増配して70円とした。 単独粗鋼生産量は4067万トンで、前年比195万トン減少。設備トラブルや台風の影響を受けた。

鋼材価格は上期の8万3500円に対し、下期は8万5800円と上昇。18年3月期は8万4700円で前期の7万2600円から1万2100円上昇した。

(清水律子)