【挑戦者たち】僕が大学でのマイニングを諦めるワケ

2018/4/29
4月1日の配信で多くの反響を呼んだ、新時代の起業リアリティショー「メイクマネー 起業家グランプリ2018」。賞金1000万円をかけた戦いを終えた挑戦者たちのインタビューをお届けします。
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10代最後の挑戦
それまでの挑戦者と比べて、ひと際クールな印象だった。
大学の講義に出るようなラフなスタイルで、渡辺大智は現れた。
普段通りの語り口からは、聡明さが覗く。
10代最後の挑戦として、「メイクマネー」に臨んだ渡辺。
提案したのは、大学で眠っているPCを活用した仮想通貨のマイニング事業だ。
学生起業家としてすでに実績を持つ彼は、10分間のプレゼンをそつなく終えた。
誰にも秘密の「メイクマネー」出演
──「メイクマネー」出演の反響はいかがでしたか。
まったくありませんでした。
番組に出演することは、周囲の誰にも言いませんでしたから。
だって、審査員の皆さんにどんなことを言われるのか、不安だったし怖かったので。
──それは、もったいない笑。
事前に想像していたよりもマイルドな反応でしたし、意外と緊張はしませんでした。
あれだけ有名な人たちとディスカッションできて、むしろ楽しかったです。
ただ、振り返ってみると反省することばかりでしたが。
渡辺大智(わたなべ・たいち)。国際基督教大学在学中の19歳。高校生でWEBアプリ制作や機械学習に傾倒。去年11月、発想からわずか2日でマイニング代行事業を立ち上げ。
圧倒的に不足していたワクワク感
──渡辺さんのプレゼンに大きな波乱はありませんしたが、反省って?
自分のパッション、情熱ですね。
何がなんでも成功させる。死ぬ気でやり遂げるんだ。
そういうパッションが圧倒的に足りなかった。
去年11月に、仮想通貨のマイニング代行サービスを立ち上げ、すでに利益を出していました。
だから、今回のアイデアが実現しなくても、すでに回っているビジネスがあるし、とクールに構えすぎていました。
考案者である自分がワクワクしていなかったのは最悪です。
──印象に残っているライバルは?
ドローンハンティングの鯉渕さんは「今の仕事を辞めてでも」と言っていたし、バーチャルキャバクラの愛田さんも「私は絶対に諦めない」と出演後に言っていました。
やはり、あれくらいの熱意がないと勝負にならないんだと勉強になりましたね。
「ドローンハンティング」鯉渕幸生(左)と「バーチャルキャバクラ」愛田もも(右)
僕の課題は開発力
──「大学で眠っているPCを活用したマイニング事業」は今後どうするのですか。
一旦、白紙に戻そうと思います。
思いついたのは僕なんですが、一緒に実現を目指してきた2人の仲間がいます。
彼らにはまだパッションがあるから、主導権を彼らに渡そうと思います。
──となると、渡辺さんは次を考えている?
今回の僕はアイデア勝負でしたが、ライバルの約半数は、サービスやプロダクトを作って持ってきていました。
僕の課題は開発力なんだと明確に認識しました。
これからは、思いついたものをどんどん作っていこうと思います。
今は「OCR(Optical Character Recognition・光学的文字認識)技術を使った栄養管理アプリ」を開発しています。
──グーグル翻訳のカメラにも使われている技術ですね。
そうです。僕は今、猛烈に栄養管理アプリが欲しいんです。
例えば、コンビニでランチを買う時、商品情報が記載されているところをカメラで撮影すると、その食品の栄養バランスが瞬時に円グラフとなって可視化される。
「この食品の組み合わせだと、たんぱく質が足りませんよ」という情報が一目でわかるようにしたいんです。
作り続けて、考え続ける
──かなり大胆なシフトチェンジですね。
とにかく手足を動かして、行動しています。
仮想通貨・ブロックチェーン技術だけに縛られる必要はないんです。そっちの分野の勉強は好きだから続けますけど。
メイクマネーに挑戦したことで、自分の意識がはっきりと変わりました。
もっとわがままでいい。自分が欲しいと思えるものをどんどんカタチにしていこうと思います。
──なんだか吹っ切れましたね。
死ぬまでに1つでいいから、なるべく多くの人に良い影響を与えるプロダクトを残したいんです。
でも今、僕が開発している栄養管理アプリが社会に与える影響って、ほとんどないかもしれない。
とはいえ、iPhoneのように革命的なアイデアが降ってくるのを待っていても仕方がない。
だからこそ、作り続けることをやめずに、作りながら考えていきたいんです。
「メイクマネー」の本質的価値
ところで、「メイクマネー」は今後も続くのですか?
──第2回開催に向けて企画を練っています。
起業のための資金調達って、起業家とVCなど1対1の場合が多いじゃないですか。
それが「メイクマネー」では、他の起業家と相対的に比較されることが、僕には新鮮でした。
ライバルと比べて、現在地点の自分が客観的に認識できる。自分のどこが優れていて、どこが足りないのか、わかりやすいんです。
「メイクマネー」の本質的な価値ってそこだと思います。
あと、通常のピッチコンテストよりも露骨で率直なフィードバックを、あれだけ豪華な審査員からもらえるのも魅力ですね。
厳しい質問と愛のあるアドバイスで、挑戦者に向き合った「NewsPicksオールスターズ」。
学生起業家こそ、挑戦するべき
──学生限定の大会もいいかもしれませんね。
いや、むしろ今回のように、いろんな年齢層が集まるほうが嬉しいですね。
バイト、サークル、勉強が日常を占める友達がほとんどの中で、ビジネスをやっている学生には「おれ結構すごいんじゃね?」的な思い込みが生まれるんです。
もうこれは仕方のないことだと思います。実際、僕もそうでした。
──そういう学生起業家は「メイクマネー」で大海を知るべきだと。
堀江さんや前田さんから「お前、そんなにすごくないよ」と言われたほうがいい。
周りの起業家と高いレベルで対等に扱ってもらえたほうが幸福だし、逆に、世界を変えるすごい奴だと評価してもらえるかもしれない。
曖昧で根拠のない自信をまとっている学生起業家こそ、「メイクマネー」に出場するべきです。
──このインタビューは今週日曜に掲載します。今度は、ご家族やご友人に告知してくださいね。
それは…まあ、考えておきます笑。
<取材:安岡大輔、デザイン:片山亜弥、写真撮影:鈴木大喜>