立ち入り厳禁!最先端「航空機タイヤ」の秘密
コメント
選択しているユーザー
現在使われている殆どのタイヤは、タイヤの中に繊維状のもの(カーカスコード)で編まれた構造を持ち、その起源は1915年の米国の発明家A.W. Savageによるものである。
https://patents.google.com/patent/US1203910A/en
Savageの発明は、現在ではバイヤスタイヤと呼ばれるもので、一方ミシュランは1948年に初の商用ラジアルタイヤを発表。
バイアスとラジアルの違いは、カーカスが斜め(バイアス)に編んであるか、横方向(放射状:ラジアル)に編んであるか。
両者の特徴は、
バイアスタイヤ
・製造工程が簡単で安価にできる
・外部からの衝撃に強い
・タイヤ全体が柔軟で悪路や貧弱なサスでも大丈夫
・タイヤが重くなりやすい
・転がり抵抗が大きく燃費が悪く、トラクションも悪い
・高速走行に弱い
ラジアルタイヤ
・転がり抵抗が小さく燃費が良い
・タイヤを軽くできる
・構造が複雑で製造工程が難しい
・サイドウォールのスプリング性が高く乗り心地がよい
・変形が小さく安定してトラクションが高い
・サイドウォール面の強度が弱い
道路の舗装が進み、サスの品質が上がり、ラジアルタイヤの製造技術が向上したことで、殆ど全ての乗用車はラジアルタイヤとなったが、11t以上の大型車や航空機、スペアタイヤや農作業用では現在でもバイアスタイヤが多く使われている。
航空機用でも、より耐久性のある軽量なラジアルタイヤが登場したことで、1986年のF15Eや、1988年のエアバスA320(ブリジストン製)などでラジアルタイヤが初採用され、2000年代から徐々に置き換わりつつある。タイヤ片がエンジンに入って離陸直後に墜落した2000年のコンコルド事故の影響もあるようだ。
航空機用では、一般にナイロン6やポリエステル、ガラス繊維、スチールなどを使った繊維強化ゴムで、ブリジストンの最新型はRRR(Revolutionarily Reinforced Radial)と呼ばれ、ブレーカーコードが特殊な繊維で補強されているようだ。
航空機用タイヤの寿命は、バイアスの場合、離着陸約200回でリトレッド(リキャップ)し、×6で1400回使用。ラジアルの場合、約350回でリトレッド×3で1400回。
注目のコメント
飛行機はご承知の通り「軽量化」が第一です。したがって、タイヤも重いバイアスタイヤよりも軽いラジアルタイヤに移行しつつあります。ただし価格は倍くらい異なります。もっとも、リキャップして使いますので新品での購入価格がそこまで足かせになるわけではありません。
実は航空機用タイヤのホイールサイズは乗用車と似たサイズで、737やA320で15インチ、また747や777,787では20インチ、A380でも23インチです(扁平率は全く異なりますが)。ただし、記事中にもあるように一本当たりの負荷が大きいため、空気圧はおよそ200psi、約1400kPaにしています(空気圧のセンサーは搭載されていますが、温度センサーはブレーキにしかついていません)。
この空気圧ですと一つ問題があり、離着陸時の速度がちょうどハイドロプレーニング現象が起きはじめる速度以上になってしまっています。そこでまず滑走路は中央部をもっとも高くし、外側に向かって傾斜をつけているほか、大多数の空港にはグルービングといって深さ6mmの横溝が彫られ、雨の時にも水たまりができないように工夫されています。
ところで航空機用タイヤにはまだスタッドレスはありません。このため、雪が積もると滑走路は除雪をしなければなりません。スタッドレスタイヤができれば、冬場の運航にも強くなれるのですが、ブリヂストンさん何とかなりませんか?乗用車用タイヤと比較して、記事にある航空機タイヤや、下記記事の鉱山用タイヤは、使用環境も過酷で品質が問われる。ゆえにブリヂストン、ミシュラン、グッドイヤーの伝統的な企業が強い領域。
一方、記事にあるようなリージョナルジェット含めた小型化は、耐荷重も軽くなり、相対的には参入しやすそうに思える(それが新興勢力参入のもう一つの背景では?)。
リトレッドだけでなく、下記記事に鉱山向けで言及がある空気圧などのセンシング含めたデータによる改善・運用、おそらく航空機もやっているのではないだろうか?
https://newspicks.com/news/2933876