【挑戦者たち】母乳のアップデート、実現するかもしれません

2018/4/22
4月1日の配信で多くの反響を呼んだ、新時代の起業リアリティショー「メイクマネー 起業家グランプリ2018」。賞金1000万円をかけた戦いを終えた挑戦者たちのインタビューをお届けします。
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世界中の赤ちゃんのお母さんになります
挑戦者の緊張がピークに達するのは、おそらく登場シーンだろう。
しかし、荻野みどりは笑みを浮かべて登場し、壮大な一言からプレゼンを始めた。
「私は世界中の赤ちゃんのお母さんになります。」
荻野が持ち込んだのは「母乳のアップデート」。
母乳の栄養成分を解析し、不足している成分をサプリメントなどで補い、完全無欠母乳を作ろうというアイデアだ。
強者たちを前にしても、物怖じしない度胸で、彼女は10分間を戦い抜いた。
ピッチ経験なしでの挑戦
──「メイクマネー」に応募したきっかけは。
去年10月にシリコンバレーで開催された女性起業家が集まるイベントに行きました。
そこで、投資家を相手に、5分間のプレゼンに挑む女性起業家たちを見たのがきっかけです。
──それまでにピッチのご経験は?
まったくありませんでした。
だけど、彼女たちが実現したいビジョンを語って、じゃんじゃん投資が決まっていく光景を目の当たりにして、うずうずしていたんです。
そんな時に「メイクマネー」の募集記事を見つけて。
ちょうど、あたためていたアイデアがあったので「ちょっとピッチかましてみようかしら」というノリでした笑。
荻野みどり(おぎの・みどり)。株式会社ブラウンシュガーファースト代表取締役。福岡県久留米市出身。28歳で長女を出産し、わずか4ヶ月後に起業。
心がざわつく瞬間
──あたためていたアイデアというのが「母乳のアップデート」だったと。
私は「我が子に食べさせたい食材」だけを扱う食品メーカーを経営しています。
いつも30年後の未来の「食」がどうなるかという視点から今を考えています。
その中で、自分の心がざわつく瞬間があって、そんな時によくビジネスのアイデアを思いつきますね。
──心がざわつく?
例えば、3Dプリンタで作るイチゴ、幹細胞を培養して人工的に作られた牛肉とか。
テクノロジーの進化を否定するつもりはありませんが、食の豊かさが脅かされそうなニュースや話題を目にすると、心がざわつくんです。
「なるほど、世界はこの方向に向かっていくのか。でも果たしてそれでいいのかな?」と。
──食の豊かさをどう維持していくか。
自分の娘に、ただ栄養を摂取するためだけの食事はして欲しくないんです。
ご飯が炊ける時のにおいで、ギュッと胃が縮む感覚も「食」の大事な側面だと思います。テクノロジーが進化していくにつれて、こうした部分がおろそかになることに危惧を覚えています。
母乳だって、お母さんが赤ちゃんに最初に与える「食」ですから。
1ミリも諦めるつもりはない
──プレゼンでは、具体性の乏しさを突かれましたね。
完全無欠母乳を作るために、どんな成分が、どのようなバランスで必要なのか。
そのための解析はどうやって行うのか。競合は本当にいないのか。
審査員の皆さんに指摘された通り、これらが明確でなかったことは自覚しています。
──母乳のアップデートを諦めるつもりは?
1ミリもありません。番組出演後、新たに3人の仲間が加わってくれました。
全員、お母さん経営者という心強い援軍です。毎週末、子供を寝かしつけた後、深夜にオンラインでミーティングしています。
「メイクマネー」に挑戦したからこそ、チームを結成できたし、今では、完全無欠母乳を絶対に実現させるぞという決意がより強くなりました。
完全無欠母乳に対して、終始、懐疑的だった堀江貴文氏。
たどり着いた有力な仮説
──堀江さんは「粉ミルクでいいじゃん」とおっしゃっていましたが。
粉ミルクって、科学的な見地からアップデートが繰り返されていて、安全性も素晴らしい。
でも、母乳はこれまで一切、手つかずです。
出演後、10人以上のお医者さんや、食品の成分解析を行う企業などに話を聞いて回りました。
色々な方にアドバイスをいただく中で、完全無欠母乳のカギとなる成分について、ある有力な仮説にたどり着きました。
審査員からの厳しい質問に、荻野は笑顔で応戦し続けた。
踏み出した大きな一歩
──カギとなるのは、どんな成分ですか?
それは…まだ秘密です。
これから検証を重ねていきますが、私たちの仮説が正しいことがわかれば、その栄養成分を補うためのサプリも作れます。
──仮説が実証されれば、大きな前進ですね。
毎年8月の第1週は、国連が母乳育児を推奨する「世界母乳育児週間」なんです。
この週の初日、8月1日が「世界母乳の日」と定められているので、この日に新会社を立ち上げようと思います。
まずは、母乳の成分解析とサプリメント開発からのスモールスタートなので、エンジェル投資家の皆さんからの出資も絶賛募集中です。
完全無欠母乳で世界を救いたい
──荻野さんのバイタリティには関心します。
まだ最初の一歩を踏み出したに過ぎません。まずは、仮説をきちんと実証したいと思います。
将来は、先進国で完全無欠母乳のビジネスを成功させて、飢餓に苦しむ子供や栄養不足に悩む母親が多い新興国に進出したいと考えています。
先進国であげた利益で、新興国でのサービスをより安く提供できるモデルを確立したいですね。
──壮大な目標ですが、もし実現すればマーケットは地球規模ですね。
この世に生を受けた赤ちゃんが、最初に口にするのが母乳です。
どれだけテクノロジーが進化しても、これだけは変わりません。
私は必ず、完全無欠母乳を実現させて、フォーブス米国版の表紙を飾るくらいの社会起業家になりたいと思います。
その時のコピーも「私は世界中の赤ちゃんのお母さんになります。」がいいかな。
「メイクマネー」挑戦者へのインタビューは、次回は4月28日(土)を予定しています。
<取材:安岡大輔、デザイン:片山亜弥、写真撮影:鈴木大喜>