【挑戦者たち】あのスピーカーのさらなる可能性を明かそう

2018/4/21
4月1日の配信で多くの反響を呼んだ、新時代の起業リアリティショー「メイクマネー 起業家グランプリ2018」。賞金1000万円をかけた戦いを終えた挑戦者たちのインタビューをお届けします。
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12人目の挑戦者
収録開始から4時間。最後の挑戦者として中石真一路は登場した。
「コミューン」という名の高性能スピーカー。
彼がこのスピーカーを通して話し始めた瞬間、疲れをまとった審査員たちの目の色が変わった。
デスクトップサイズの細くて小さなマイク。
スピーカー本体は純白で、丸みを帯びたデザインは洗練されている。
中石のプレゼンが終わる頃には、このスピーカーが「世界を変える可能性」を秘めていることを、その場にいる全員が理解していた。
「コミューン」のスピーカーとマイク(提供:ユニバーサル・サウンドデザイン)
緊張を強いられる方が燃える
──メイクマネー出演、お疲れ様でした。
プレゼンが始まるまでは、どんな質問が来るのか怖かったです。
登場前に控え室で、齋藤さんが強制退場させられる瞬間を目の当たりにして、「あれだけは嫌だな」と笑。
通常のピッチコンテストには、強制退場なんてないし、「もう聞きたくないボタン」もないじゃないですか。
ある種、異様な緊張感でしたね。
中石真一路(なかいし・しんいちろう)。ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社代表取締役。WEBエンジニアなどを経て、2012年に会社設立。
──挑戦者の緊張感をいかに高めるか、工夫した甲斐がありました。
そういう意味では成功だと思いますよ。
でも、私は緊張を強いられる方が燃える性格なんです。
さすがに緊張はしましたが、あれほどショーアップされた空間でも、想定通りのパフォーマンスが発揮できたと思います。
脳に言葉を届ける仕組み
──改めて、「コミューン」は何がすごいのか教えて下さい。
一般的なスピーカーやアンプを通すと、音には歪み(ひずみ)が発生します。
音量を上げると歪みがさらに発生してしまい、音の明瞭度が下がってしまいます。
「コミューン」を使うと、マイク、スピーカー、アンプのすべてにおいて、聞こえにくさの元凶である「音の歪み」を極端に抑えることで、小さな音量でも聞こえやすくなります。
──明瞭度ですか。なんとなく理解できるような…
耳には、音を感知する有毛細胞が片側だけで約1万5000個あります。
「コミューン」を通した音は、一つの音を細かく分解するため、約1万5000個の有毛細胞がより強く音を感知し、脳に届けられると考えています。
これが音の明瞭度を損なわない仕組みです。
「コミューン」を使っていただければ、難聴で「聞こえにくい」が当たり前だった人を救うことができます。
出所:ユニバーサル・サウンドデザインHP
コストではなく投資へ
──日本には、どれくらいの難聴者がいるのですか。
最新の統計では約1500万人です。世界では5億人にも上ります。
高齢化が進行すれば、必然的にこの数字はどんどん増えていくでしょう。
──「コミューン」の需要は、今後ますます増えていくと。
高齢者が入所するグループホームのほか、公共交通機関や企業の窓口などへの導入を進めているのですが、どうしても時間がかかってしまいます。
──なぜ時間がかかるのでしょうか?
駅や企業の窓口などの現場担当者は、「聞こえにくい」と苦しんでいる難聴者や高齢者がどれだけいるのか、ほとんど気づいていません。
ある窓口の担当者は「うちは大丈夫ですよ」と言っていましたが、私たちがアンケートをとった結果、7割の高齢者が「窓口での会話が聞こえにくい」と答えました。
まずは、課題を認識してもらうために、こうしたコンサルティングから行っています。
いきなりスピーカーを買っていただこうとしても、それはただのコストです。しかし課題を認識していただき、その課題を解決するためのスピーカーだとすれば、それは投資になります。
若い難聴者の可能性を広げる
──番組では話しきれなかった「コミューン」の活用分野があるとお聞きしました。
実は、難聴者は日本語よりも英語が聞きとりにくいという事実があります。
一般的に、日本語の周波数は125Hz〜1500Hzですが、英語は2000Hz〜12000Hzと高音域なんです。
そのため、子供の難聴者は、これまで英語のリスニングとスピーキングに苦しんでいたため、英語が入試科目になっている大学や学部を選べないことが多かった。
コミューンは、高音域の音の圧力を高めているため、難聴者にも英語が聞きとりやすくなります。
出所;ユニバーサル・サウンドデザインHP
──2020年度には、小学校で英語が必修科目になりますね。
難聴者に対する教育はまだ発展途上です。
小学校の英語教育に「コミューン」が導入されれば、大学進学を諦めなければならなかった難聴者の可能性を広げることができる。
1年前から自社で英語塾もスタートさせ、「コミューン」が英語教育に有効であることも実証済みです。
ただし、学校はまだ予算をつける段階にはないので、一部の学校に寄贈するなどして、コツコツと普及を進めていきます。
「コミューン」を活用した英語塾を1年前からスタートさせた(出所:ユニバーサル・サウンドデザインHP)
あらゆる場面がブルーオーシャン
──審査員からは、健常者への横展開を勧める声もありました。
実は、コミューンの技術を応用したイヤホンや備え付け型やスタンドタイプのスピーカーの製造・販売をすでに始めています。
備え付け型スピーカーは、お寺や議会の議事堂などに導入されていますよ。
コミューンの技術を応用したスピーカー「SONORITY」シリーズ(提供:ユニバーサル・サウンドデザイン)
──中石さんのビジネスに競合はいない?
現時点ではほとんどいません。
つまり、生活におけるあらゆる場面が、私から見ればブルーオーシャンなんです。
テクノロジーで世界を救う
──規模拡大に時間はかかりますが、将来とんでもないビッグビジネスになるかもしれませんね。
あと何十年後かには、読者の皆さんも高齢者になります。だからこそ、今から取り組まなければなりません。
超高齢化社会における音声コミュニケーションは、人類にとっての大きな課題ですから。
私は真剣にこのテクノロジーで世界を救えると思っています。
「メイクマネー」挑戦者へのインタビュー記事は、毎週土曜・日曜に公開します。
<取材:安岡大輔、デザイン:片山亜弥、写真撮影:鈴木大喜>