NY原油続伸、68ドル台 3年4カ月ぶり高値
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原油価格が上がると天然ガスの価格も上がり、日本はこれらの殆どを輸入してます。このため、日本の交易利得(損失)は、原油価格に連動します。そしてこの関係に基づけば、今年の原油価格が年平均70ドルとなると、2.8兆円の所得が国外に流出する計算になります。これは、1%の消費増税に匹敵する負担増になりますので、更に原油価格が上がれば、景気への影響は無視できないでしょう。
私は2年くらい前からOPECの減産によって2017年末にかけて70ドル台に向かうと言ってきたので、幸いにして他の大きな偶発事象が起きなかったために予想の範囲内ですが、その話を聞いていた人によく勘違いされるのですが、このまま上昇を続けるのは難しいと考えています。
原油価格が上昇しているのは、基本的にはこれまで空前の規模まで膨れ上がっていたOECD在庫が、昨年5月頃から切り崩されて来ているからで、2月から3月で26mb減少し、5年平均の250mbまであと少しの284mbまで下げて来ています。
特にWTI市場はOECD在庫よりも米在庫を見ているわけですが、従来と異なるのは、昨年から米国→中国の原油輸出が数十倍の規模で拡大している(トランプ訪中時の貿易赤字縮小方針に呼応)ことです。
中国の原油輸入量は、
1月9.57mbd
2月8.41mbd
3月9.22mbd
と推移していますが、3ヵ月平均で前年比7%増です。
一方、米国から中国への「原油」輸出は、
2015年平均 0.001mbd
2016年平均 0.022mbd
2017年平均 0.224mbd
2018年1月平均 0.313mbd
と2015年比で300倍になっており、中国の輸入増分のかなりの部分(1月なら約15%)を占めていることがわかります。
つまり、中国が米国から原油輸入を拡大させたことで、米在庫の減少に注目するWTI市場は、世界の需給バランスをより増幅してタイトに捉えがちと言えるでしょう。
もちろん他にも、中東における米露対立の懸念や、ドルが相対的に安くなっていること、イラン制裁、ベネズエラの生産減少、OPEC減産継続観測、など上げ材料はたくさんあります。
一方、米石油リグカウントは、1月中旬から上昇を続けているので、シェール オイルのこれ以上の増産を嫌って、70ドルを大きく超えてこればOPECは減産解除の議論が出てくるでしょう。
また、世界の製造業、特に欧米で過去最高のPMI水準が続いているので、これに陰りが出てくると下振れ圧力になるでしょうね。
追記
オフショアは長期投資なので、短期の動きには反応しないかと。原油在庫については、下記でまとめてコメントしたので併せてご参照いただきたい。
足元の在庫を見ると、過去数年は0.5億バレルとか増加することもあったが、今年の冬は0.1億バレル程度。季節性としては夏前後で下がっていくので、2015年から一気に増加した在庫水準が戻ってくるパスに、引き続き乗っている。
https://newspicks.com/news/2840724
https://www.eia.gov/dnav/pet/PET_STOC_WSTK_DCU_NUS_W.htm