スポーツクロスオーバー時代、Jリーグアドバイザーとしての任務

2018/4/17
2カ月後にワールドカップ(W杯)を控えたこの時期に起こったハリルホジッチ監督解任。日本のメディアを騒がせておりますし、いろいろ思うところもありますが、あえてここでは書かないことにしました……。
私がここで意見を述べずとも、すでに様々な人がいろいろな見解を述べています。しかも、私が意見を述べたからといって、すでに下された決断が覆るわけでもありません。
であれば、今回の決断に対してネガティブキャンペーンを張るのではなく、これがショック療法として選手の発奮を促し、W杯本番で「結果を出す」ことにつながることを祈り、全力で日本代表をサポートしたいと気持ちを切り替えました。
サッカーも、他の多くのことと同じく「結果がすべて」の世界です。予選が良かろうと悪かろうと、本番直前に監督が解任されようと、要はW杯で「結果を出せるか」どうかにつきます。
過去に決勝トーナメント進出がたったの2回しかない(しかもそのうち1回は、圧倒的に優位である開催国であった2002年です)、世界的に見てもまだ弱小に過ぎない日本代表の場合は、「決勝トーナメント進出」が「結果」の目安と言っても良いかと思います。
また「日本らしいサッカー」とか「勝ち負けより戦い方が大事」などといった現在位置を忘れたようなコメントも聞きますが、欧州や南米サッカーとの現状における大きな差を忘れ浮世離れした感があります。ドイツやブラジルのような強豪国ならまだしも、今は「結果がすべて」です!
そんなわけで今回の監督解任に少なからず疑問符(特にタイミング……)はありますが、すでに起こってしまったことを嘆いても仕方がないので、前を向いて、日本代表を応援しましょう!

「マネー力」の時代に

反論が飛び交う監督解任騒動の真っただ中ゆえ、本記事は努めてポジティブにいきたいと思います。個人的な話になりますが、今月より「Jリーグアドバイザー」を拝命いたしました。
20年以上も日本を離れていますので、もっとJリーグと日本サッカーを学ぶ必要がありますが、まずは下記の観点から貢献できればと考えております。
英国プレミアリーグのエバートンFC、そして現在のUEFAチャンピオンズリーグと、欧州サッカーに携わってから15年近く経ちますが、その間に、メディア業界が急激に変化しました。それに伴い、スポーツや放映権のビジネスを取り巻く環境も激変しました。
Jリーグも懸命の努力を続けておりますが、「マネー力」が以前にも増して重要になってきた現代スポーツビジネスの時代ですので、放映権ビジネスの波にいち早く乗った欧米スポーツ界との差がさらに開きつつあります。
欧州移住前に住んでいた「超スポーツ大国」アメリカと、15年近く携わっている「欧州サッカー」における生体験を生かし、「国際スポーツビジネス」と「国際放映権ビジネス」のホットな「今」をお届けして、Jリーグをサポートしていければと思っております。

トップダウンからボトムアップへ

皆さんもご存じの通り、日本だけでなく世界のサッカー界も、サッカー協会がピラミッドの頂点に位置する「トップダウン型」の構造になっています。
しばらくは、この構造に変わりはないと思いますが、インターネットによって個人がエンパワーされているSNS全盛の時代ですので、国家やサッカー界の在り方に今後変化があってもおかしくはありません。
要するに従来の「トップダウン型」に改良が加わり、もう少し「ボトムアップ型」の要素が出てくるのが時代の流れではと感じるのです。「ボトムアップ型」をもっと具体的に言うと、サッカーファンの声がもっと吸い上げられるようになっていくのでは、ということです。
ゆえに、今後の日本や日本サッカーを背負っていく若い世代の声を聞き逃さないように、SNSの力を生かしたいと思います。Jリーグアドバイザー拝命に先立ち、ツイッターも始めましたので(@yasuokabe)、Jリーグをさらに盛り上げる面白いアイデアがあれば、お気軽にご連絡ください。
また近々、業界の重鎮たちと一緒に「オンラインサロン」を始めようと思います。スマホ革命によりスポーツやメディア、そしてファンのスポーツの楽しみ方も急激に変化しています。
スポーツも単体としてビジネス的に見る時代は終わり、「スポーツ×エンターテインメント×メディア×テクノロジー×コミュニティ×グローバル(アジア)」といったテーマがクロスオーバーする掛け算的な感じになってくるはずです。
そういった環境変化を踏まえて、オンラインサロンでは日本サッカーを想うファンや異能異才の生の声をどんどん吸い上げていきたいと思っていますので、「日本スポーツやJリーグを盛り上げたい」「W杯で日本代表初優勝!」など、夢見る熱い方々の応募をお待ちしております!

空気を読まず、忖度せず

Jリーグアドバイザー就任のニュースが流れた際に、サッカー界の友人(Jリーグベスト11にも選ばれたことのある元Jリーガー)から、激励メッセージが入りました。
「いい意味での岡部さんの空気を読まない言動で、日本サッカーを盛り上げてください」
ただ単に冷やかされているだけかもしれませんが(笑)、自分的にはポジティブな激励と捉えています。今までも多くの優秀な日本人が、Jリーグや日本サッカーの発展に貢献してきました。
私が忖度(そんたく)して日本的に空気を読んでしまったら、多くの優秀な人が日本にいるのにもかかわらず、わざわざ遠く離れたスイスから私がアドバイザーを務める意味がありません。ゆえに、私は私なりのバリュー(=価値)をもたらすことにこだわり、Jリーグと日本サッカーに貢献していきたいと思います。

地方都市を盛り上げるパワー

最後になりますが、サッカーだろうと何であろうと大事なのは、「アクション、アクション、アクション!」だと思っています。
Jリーグアドバイザー就任を前後して、NewsPicks読者である新潟の遠藤涼介さんと、ツイッターを通して知り合いました。「スポーツを通して新潟を盛り上げたい!」「面白いイベントを企画実行して、新潟から全国に発信していきたい!」という遠藤さんの想いに共鳴して、9月に新潟でイベントを行うことになりました。
少子高齢化に伴う人口減で、地方経済の今後の見通しは厳しいものがあります。しかし、人を熱くさせるサッカーなどのスポーツは、地方都市を盛り上げるパワーを持っており、今後の地方創生に欠かせない大事なピースだと信じております(日本ハムの札幌、楽天の仙台、ソフトバンクの福岡などはいい例だと思います)。
人口減で将来が心配な日本ですが、人の流動性が高く「人、物、金、情報」が回り、また旅行・仕事・留学などを通して外国人の旅行者や居住者も増えている大都市・東京は、今後も何とかなるのでは、と思っています。心配なのは、地方都市です。しかし裏返せば、地方都市が元気であれば、日本はまだまだ大丈夫、ということになります。
そんなわけで、日本の明るい未来のカギを握る地方都市を盛り上げていくべく、サッカーやスポーツの持つ力を思う存分に使っていきましょう。まずは、新潟で熱いムーブメントを起こして、若者含め皆さんのやる気スイッチを押しまくりたいと思っているので、Stay tuned!
福岡など他の都市でのイベントの話も出ているので、「私の愛する街も、スポーツの力で盛り上げて、ムーブメントを起こしたい!」という方は、ツイッターでお気軽にご連絡ください。
大事なのは、「アクション、アクション、アクション」!
(写真:中西祐介/アフロスポーツ)