【独占】マクドナルド社長の栄光と挫折。今語る「復活の道のり」

2018/4/16
社長就任早々、ここまで「不運」に見舞われるトップも珍しい。
サラ L.カサノバ。2013年8月、日本マクドナルドのCEOに就任した、マクドナルドグローバルの出世頭だ。
当時、日本のマクドナルドは前任の原田泳幸社長時代にあって、2013年の売上高は前年比▲11.6%の2,604億円と、上場以来「最大幅」の減収減益に落ち込んでいた。
2013年8月、前任の原田泳幸社長(左)からバトンを受け継いだカサノバCEO(右)(写真:東洋経済/アフロ)
そうした停滞期にバトンを受け継いだとあって、日本のマクドナルドを立て直すべく意気揚々と抱負を語ったカサノバだったが、就任約1年後の2014年7月に、あの「事件」に直面する。
仕入先の中国工場で、「期限切れ」の鶏肉を使用していたことが発覚したのだ。いわゆる「チキン事件」である。
「我々はだまされたと思うし、憤りを感じる」
責任は我々にはないと言わんばかりの、彼女の会見での発言は、世間に不信感を抱かせた。
さらに追い打ちをかけるように、半年後の2015年1月、今度はポテトやナゲットに「異物」が混入していたことが、日本各地の店舗で相次いで明らかに。海外出張先で連絡を受けたカサノバは謝罪会見に出られず、マスコミの大バッシングは頂点に達する。
世界で最も“うるさくて難しい客”を持つと言われる日本の外食市場において、外国人にトップは務まらないのでは──?
メディアに限らず、米マクドナルド本社も、一時はそう考えたのだろう。
実際、米マクドナルドは「カサノバに代わる、日本人経営者を必死に探していた」(関係者)。カサノバに近しいある企業経営者は、「めげていた時期もありましたね」と、当時のカサノバの様子をこう語る。
立て続けに「品質問題」が発生、上場以来初の営業赤字転落に直面し、めげていた時期もあったという(写真:Bloomberg/GettyImages)
しかし結果的に彼女は、これらの状況を全て正面から受け止め、ただただ耐え抜いた。
かつて米マクドナルド創業者のレイ・クロックは、「才能は違う。天才も違う。教育も違う。信念と継続だけが全能である」と自伝の中で述べている。
そしてカサノバは、まるでレイ・クロックの言葉を踏襲するかのように、「大事なこと」を忘れずに、やるべきことをやり抜いたのだ。
笑顔を貫くこと、そしてどんなに厳しい声であっても、「顧客の声」にしっかり耳を傾け続けること──。
結果は見事についてきた。
「マクドナルド復活!」と言うは易しだが、しかしそこには我々の知る由もない、壮絶なる「苦労」があったに違いない。
NewsPicks編集部は、カサノバ社長への独占インタビューにこのたび成功した。今だから話せる当時の苦労話から、彼女の経営哲学、そしてマクドナルドの未来まで。
特集第1回の本日は、そんな彼女がNewsPicksだけに明かした話を、たっぷり1万字にわたってお届けしよう。
(写真:Bloomberg/GettyImages)