(Bloomberg) -- ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は12日の決算発表会見で、業績報告の前に自ら「経営の中核を担う人材が育ってきている」と明かした。自身は最終的な承認をするだけで日常業務は経営執行チームが担っているとの異例のスピーチを展開し、経営のバトンを譲る環境が整いつつあることを示した。

さらに「皆さんがご関心おありの後継者問題だが、現状の経営陣は結構良い線をいっていると思っているし、何も心配していない」と話した。通常第二四半期(9月ー2月期)の決算会見に登壇するのは柳井氏と岡﨑健CFOの2人。この日は両氏に続いて若林隆広グループ上席執行役員が初めて壇上に上がった。自己紹介から始めたプレゼンテーションではユニクロ事業の将来について語った。会見場には記者向けに若林氏の略歴を記した資料も準備されていた。

その後の質疑応答では柳井氏は「いつかは分からないが、これが限界だなと思うときにスムーズに交代できる体制だけは作っておきたい」とし、すでにその体制に近いものは出来上がっていると述べた。一方で創業者として一生関わりは持っていきたいとも説明した。若林氏の後継者としての素質について問われると「順調に成長しており、今後も期待している」との認識を示した。

後継者問題を巡っては2015年11月に山口市の本社で開かれた株主総会で、柳井氏は「今の執行役員から後継者を選びたい」と発言。社内の教育機関で執行役員が経営者になるための教育を行っていることを明らかにしている。

若林氏は愛知県出身の48歳。静岡大学を卒業後、1993年にファーストリテイリングに入社した。店長や営業、在庫管理部門を経て、04年にはユニクロ執行役員に就任し、17年より現職。

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