なぜ?太陽光発電事業者の倒産が過去最高に
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太陽光発電セクターでは、バリューチェーンによりいくつかの事業者群がいます。一声で「太陽光発電事業者」と言ったり「再エネ事業者」と言っても、そのビジネスモデルや収益構造はバリューチェーンのどこに位置するかにより、大きく異なります。
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太陽光発電セクターでは、バリューチェーンの上から順に:
① メーカー。パネルメーカーやパワコンのメーカーなど
② デベロッパー。発電所の事業化を企画し、資金調達を行い、開発・建設資金を投下する企業
③ 設置・建設業者。実際に発電所を建設する企業。②から建設業務を請け負う
④ 発電所の所有者・運営者。②のデベロッパーがそのまま運営者になることもあるし、発電所を売却したりインフラファンド化してデベロッパーから所有者が変更されることもある
⑤ メンテナンス会社。④からメンテナンス業務を請け負う企業
上記のうち、①と③は、太陽光発電所建設の受注時にしか収益が上がらないため、受注のピークを過ぎると売上が激減します。しかも、太陽光パネルはグローバルのコモディティであるため、単価の値下げ圧力は大きい。
事業のピーク時に固定費を増やすような経営判断をしていると、苦しい台所事情でしょう。
上記のうち、④(= ②の場合あり)と⑤は、発電所が運営されている期間で長期安定的に収益をエンジョイします。特に④の事業は、FITによる売電収益の確実性があります先行者利益型の補助金+インフラフリーライドビジネスに、少し遅れて参入した事業者は、次第に出資者を騙す詐欺ビジネスと化してしまったから。
これを「なぜ」とか「国策倒産」などと言っているようではダメですね。
あえて言えば、日本の民主主義のコストとして、菅直人が首相になったから。
追記
何人かの方から、菅直人をそそのかした孫さんの事をなぜ書かないのかというご指摘を頂いています。
私は、政治家とは社会意志決定の責任を引き受ける存在で、後世の批判の対象となることも仕事のうち(時には必要悪としてのスケープゴートもある)と考えています。
一方で、営利企業の経営者が合法的に自分の事業が有利になるように政治に働きかけること(つまりロビー活動)は、自由な経済活動の範囲内だと考えているからです。してやられたとしか言いようがない。
本来であれば、特定企業に有利で社会的に不公平なルールが生まれないように、政治が判断する(判断できる政治家を有権者が選ぶ)ことが建前ですが、民主主義ではたまにそれがうまくいかないこともあります。
また、判断した人よりもそそのかした方が悪いというならば、孫正義をそそのかした飯田哲也氏などはどうなんでしょう。
私が、「菅直人」という個人名をあげるのは半ば冗談で、本気でそう思っているからというよりも、そんな風に考えでもしないとやっていられないからです。今更責任とってと言っても、数百兆円に上る損害は、数十万回死刑にしたとしても返って来ません。この問題はどれだけ理由を探し、犯人探しをしても、解決には繋がりません。そんな気持ちを茶化した表現です。
そもそも、日本の再エネ固定価格買い取り制度の最大の問題点は(他にも過積載のザルなどありますが)、買い取り価格の設定であって、それは菅直人が退任した後に決まったものです。その意味において、菅政権そのものや孫さんに全ての責任があるわけではないんですが、一言で表すには最終責任者の政治家を挙げるしかないんです。電気はためておけないのが一番の欠点。蓄電池でためておける量なんてたかが知れています。太陽電池による電力で水を電気分解し、太陽光エネルギーを水素として貯蔵する試みが進んでいます。目からウロコです。
太陽光による水素製造、宮崎で世界最高効率24.4%を達成
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1509/24/news065.html
太陽電池の未来:発電から太陽光燃料へ (杉山 正和 教授)
https://www.youtube.com/watch?v=vBTkS2axyqA&index=2&list=PLx_XCm6nwND2n935hoVxzvPS7Mcy4KaTo&t=0s