松本人志の一言に込められた「笑いの哲学」

2018/8/3

劇場でウケないダウンタウン

新人コンクールで優勝したダウンタウンは、NSCの同期のなかでは異例のスピードでなんば花月の舞台を踏みました。
ところが彼らの笑いが、劇場の客層の中心である年配の人にはまったく評価されなかったのです。
二人の芸風は、当時もいまもまったく変わりません。劇場に足を運ぶ昔ながらのお笑いファンにとって彼らの笑いは、どこで笑えばいいかわからないものだったのでしょう。
劇場のお客さんの反応が悪いので、二人がNSCを卒業する時期になっても、劇場から声はかかりません。
それでも二人は淡々と稽古をしていたようですが、ある日、珍しく二人が「大﨑さん、お茶おごってくださいよ」と言ってきました。
「大﨑さん、俺ら、面白くないですか?」
「いや、そんなことない。すごく面白いよ」
「じゃあ、どうして仕事ないんですかね?」
「そうやな、みんなアホなんやなあ」
ダウンタウンは間違いなく面白いのに、それを理解できる人間が社内にいないのです。
このままではせっかくの才能がつぶれてしまう。気がつくと、「じゃあ、俺がマネージャーするわ」と口にしていました。