【辻一弘】映画を離れ、ファインアートで生きる

2018/4/6

結果を出してなお「このままではだめだ」

──辻さんは2012年に映画の世界から離れて、現在はファインアート(純粋な芸術活動)に取り組んでいます。今回の『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』は映画復帰作とのことですが、映画界を離れたのはなぜですか。
 理由はいくつかありますが、まず一つは、映画の撮影現場の仕事は、心身にかかる負担がとても大きいからです。
俳優に特殊メイクを施すには3~4時間かかりますから、撮影現場に入るのは誰よりも早くないといけません。そして撮影終了後、メイクを落とすのにも1時間弱かかります。もちろんその間もずっと現場にいるので、一日16時間労働は当たり前。