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プーチン大統領についてはどうしても派手で強権的振る舞いに目が行きますが、強い政治権力というのは基本的には経済によって支えられているということも忘れてはいけません。

例えば、エリツィン時代のロシアはずっとマイナス成長で、GDPが48%も減少する一方、ベレゾフスキーやグシンスキーなど8人のオリガルヒヤ(寡占資本家)が、私利私欲で経済を実質的に支配し、1998年にはデフォルトを引き起こすなど、経済的には破綻国家以外の何者でもありませんでした。

しかしプーチン政権に代わるや否や、オリガルヒヤは解体され、一転して平均7%以上の経済成長を達成、貧困も半分以下に減少し、庶民の平均月給が80ドルから640ドルに増加しました。
実質GDPが150%となり、曲がりなりにもロシアの経済は旧ソ連を上回るところまで回復したのです。

この恩恵を受けた庶民が、独占資本家から富を取り戻したプーチンを皇帝のように崇め、その強力な支持者となったことは想像に難くありません。

「全ては経済だ、それがわからないのか!」と言ったのはかのオバマ大統領ですが、トランプ大統領にしろ、中国の習主席にしろ、トルコのエルドアン大統領にしろ(もしかしたら我が国さえも)ある種の強権的な政治が実現できる背後には、必ず経済的な裏付けあるということなのです。
フランスで第二共和政の外相を務めたアレクシス・ド・トクヴィルは若い頃、1830年代に米国を旅行し、古典的名著『アメリカのデモクラシー』を著しました。その中の以下の言葉はトクヴィルの慧眼を示す言葉としてよく引かれます。
「今日、地球上に、異なる点から出発しながら同じゴールを目指して進んでいるように見える二大国民がある。それはロシア人とアメリカ人である」「いつの日か(アメリカとロシアがそれぞれ)世界の半分の運命を手中に収めることになるように思われる」
 20世紀は、米国とソ連が二大超大国として突然躍り出た時代でした。それまでは西洋の傍流であった米国とソ連が世界を二分するとトクヴィルのように予想していた人はわずかでした。
 経済を見れば米国の優勢は明らかだったのですが、現在もそうであるように、米国は模倣するにはあまりにも自分たちと隔絶している社会である、と考える国々は少なくありませんでした。一方、農業国から急速に工業化を達成し(たかのように誤解され)たソ連は、多くの国々の知識層、とりわけ経済に通じていない知識層からは、模倣できるモデルのように思われ、彼らは支援を求めました。実際には、ソ連が提供できた支援とは、KGBで知られる治安維持のノウハウ、相互監視と密告の奨励や強制収容所、拷問や洗脳の技法、などでした。あとは軍隊が進駐してきたことくらいです。そのせいで、アフリカから北朝鮮に至るまで、多くのアジア・アフリカの国々でソ連式の治安維持と秘密警察が見られるようになり、現在まで存続しています。

 トクヴィルは、米国の民主制が突出して優れた指導者がいなくても多くの人材で国家を運営できること、政教分離で争いを回避していることなどを高く評価しながらも、自由はあっても個人主義が蔓延して流動する世論に政府が翻弄されるようになる危険も指摘しています。一方、ロシアは一人の人間に権力を集中する国家であること、人々に武力で隷従を強いること、を指摘しています。
 ソ連は経済的な弱さゆえに敗れるべくして敗れました。経済で敗れたというのは必ずしも認識しやすいことではなく、プーチン氏のような人物には何かの間違えのように映るのでしょう。そのため、相も変わらずソ連式の治安維持を実践しており、諸外国との関係も軍事と治安維持の輸出が中心になっています。
近年、「プーチン型」の強権・独裁的な指導者が各地で増えていることが指摘されています。トルコやエジプトにベネズエラ、さらは冷戦後に自由陣営の仲間入りに邁進したはずのハンガリーやポーランドでも同様の傾向が見られています。
ロシアの国力はその実態よりも誇張されて伝えられがちですが、それを補うあまりの「強いリーダー」というプーチンのイメージが国際情勢を撹乱している部分もあります。
プーチンの力の源泉はどこにあるのか、探った記事です。
昨年12月にモスクワで開かれたアート展「スーパープーチン」の写真と合わせてご一読ください。
最近のNewsweekのプーチン特集によると、昨年のロシアの経済成長率が1.5%、ここ数年の物価上昇率が10%近いのに、支持率は80%を割ったことがないという。プーチンは90年代からの原油価格高騰を背景に、ロシアを包囲する諸外国と戦い、奪われた旧ソ連の支配地域を再び確保する、という「夢」を国民に与えた。もちろんメディア統制や弾圧はお手のものだが、聞けば聞くほど北方領土は返してくれなさそうだ。日本政府はそこをちゃんと認識した上で交渉しているのだろうか。
自国利益の追求、過激な言動による注目(批難による支持の獲得)、伝統の保護による保守層の取り込みというのはよく分かりましたが、それだけだと極右政党がやってることと同じなので、独裁者としての本質的な「ダークサイドスキル」は他にあるのでは、という印象も受けます。
「どういうやり方か?」のダークサイドスキルの話より「どうなりたいか?」の野望が、ライトサイドかダークサイドか、はたまた混成なのか、が気になって。
世間から嫌悪されることで、逆に熱烈な支持を集めるー。
まさに「ダークサイドスキル」。
記事だけでなく、「スーパープーチン」展の作品でも魅せてくれる記事でした。
イデオロギーがないと言われるなかでリーダーシップを発揮するってどういうこと?どこに共感を生んでいるの?
この連載について
暴走が加速するトランプ政権に、世界の新たなルール作りを目指す中国。北朝鮮問題から中東問題まで、地殻変動が進む国際情勢と地政学の動きを解きほぐし、徹底解説する。