アラムコ国外上場難航 サウジ・米首脳会談 実らず
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問題は、アラムコが、ニューヨーク市場の上場基準に耐えうるコーポレート・ガバナンスや内部管理体制、企業内容の開示ができないことです。サウディアラビアでは、それらを企業に義務づける法整備もできていません。アラムコ以外の企業でも同じことですし、サウディアラビア政府全体で管理体制の法規順守や法規そのもの、情報開示が欠如しています。専制君主制で、随時君主が思いついた事業の開始を命令したり、気儘に企業資産を持ち出したりするのですから、当然、そうなります。下もまた上を見習っています。
現代先進国のガバナンスや情報開示を共有したくないのですから、現代資本主義の世界でやっていくのには無理があります。ロンドンでも東京でもアラムコの上場は到底無理でしょう。ニューヨーク市場は、米国の主要な富の源泉の一つなのですから、トランプ大統領にかけあったところで、上場基準が曲げられるわけがありません。専制君主だと、そういうことも理解できないのでしょう。
アラムコが上場できるのは、サウディアラビア国内と、あとは（実際には選ばないとしても）せいぜいドバイでしょうか。ロンドンでも東京でも無理でしょう。上海でも無理には違いありませんが、こういう現代資本主義にそぐわない国家の体質が、いずれサウディアラビアを中国に接近させたとしても、それなりの必然性はあります。国外上場難航は、結構前から出てきていた話題。そもそもアラムコは上場しないで済むのであれば上場したくないだろう、それでも資金調達が必要な財政状況。そして上場が厳しい可能性が出てきたことも、先日のアルワリード王子含む拘束・資産没収につながっているというのが流れなのだと思う。
今後のメモ含め、上場に関する報道を、時系列で確認。
2016年1月：上場検討
https://newspicks.com/news/1333769
2017年2月：NYSEが最有力。2016年からNYSEを希望という報道はあり、LSEや東証などもトップマーケティング。ただ意向としてはNYSEがトップだったのだろう。
https://newspicks.com/news/2077712
2017年6月：アラムコ幹部・法務部はロンドン希望。ムハンマド皇太子（当時副皇太子）はNYSE希望
https://newspicks.com/news/2307527
2017年10月：上場断念か、中国投資家の出資可能性も取り沙汰、石油担当相は否定。
https://newspicks.com/news/2556710
https://newspicks.com/news/2564552
2017年11月5日：王族などの拘束
https://newspicks.com/news/2605573
2017年11月6日：トランプ大統領はNYSE上場をTweetで後押し（拘束直後、というのは気になる点）
https://newspicks.com/news/2607108
2018年1月：アラムコの企業形態をジョイント・ストック・カンパニーに変更。
英国だと株式会社と同様に扱うが、米国だと異なる扱い方。米国上場の場合どうなるのかは分からないが、気になる意思決定。
https://newspicks.com/news/2734275
2018年1月後半：2018年の国外IPO実施の厳しさが再度報道され始める。本記事にも記載がある米国上場した場合の同時多発テロ被害者による訴訟などが、米国上場の具体的なボトルネックとして報道されている（その前から報道あるかもしれないが）。
https://newspicks.com/news/2776836
https://newspicks.com/news/2783405ロンドン、ニューヨークが有力候補だが、公開性の程度などをめぐって上場のルールを緩めてもらわないといけないのと、環境問題や９・１１事件をめぐる訴訟などのリスクを抱えて、難航中。
