神道に没頭。オーストリア出身の「史上初外国人神主」
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神道に興味と持ってからどうしても心をとらえて離れられず、国に帰されても日本のことが好きで学び、遂に神職に・・・。こんな人のいる神社にお参りしたほうが良い気分になれそうだ。
年々、日本の文化が海外でブームになる中で、なかなか興味を持たれるきっかけの少ない神道。神道はほかの宗教のような制約や決まり事がなく自由で柔軟、経典のようなものもない。ほかの宗教を否定せず、後から入ってきた仏教と習合して現在の日本標準となる。自由な考え方の神道だからこそ、外国人が神職になることは神道の考え方を顕現しているともいえるし、日本にとっても歓迎すべきことなんだろうなと思う。
注目のコメント
この記事を書いたライターの川内です。
日本の歴史上初めて神主になった外国人、ウィルチコさん。本当に博識な方で、神道について詳しくない日本人は知らないようなことを、丁寧にわかりやすく解説してくれました。
その探求心は驚くばかりで、大学時代には、アジアにおける日本を理解するために、中国の古典である「四書五教」を日本語で読んでいたそうです。
とても真摯に神道を追及している方ですが、今回の記事ではひとりの人間としてのウィルチコさんを描こうと思い、個人的なエピソードを尋ねたところ、渋谷の金王八幡宮時代の思い出など楽しそうに語ってくれました。このシリーズ、素晴らしすぎる。NP史上ベストと言っても過言ではない。今回も必読記事。日本や外国がどうこうではなく、個人の夢と情熱にフォーカスしているのが凄くいい。この神主さんは夢が日本にあったから日本に来た。僕は夢がアメリカにあったから日本を出た。そこに本質的違いはない。
それと、この下り、いろんな示唆に富んでいる。
>「神道は『天地悠久の大道である』と言います。いつまでも続く、限りの無い、大きな道だということです。その道の途中、例えば戦後には多くの神主が戦死し、誰がお宮を守るのかと議論になりました。
それまで女性は神主になれなったのですが、お宮を守るために女性にも資格を出すようになりました。それが女子神職です。
それなら、神主は絶対に日本人じゃなきゃいけないか? 神様を正しくお祀りさえできれば、外国人でもいいじゃないかと。もし外国人はダメだと言ってしまったら、限りがないはずの道に限界を作ることになる。外国人が神主になれないというのは日本らしくないと言ってくれました」
【追記】著者の川内さんの「稀人ハンター」という肩書きが気になるぞ笑 どうやってこんな面白い人を見つけるんやろ?
このシリーズ書籍化してほしい!絶対買う。
NewsPicks Booksさ〜ん!!
【追記2】この名シリーズにふさわしいタイトルは、「日本で働く」よりも「日本で生きる」かも。神道は、明治以降は世襲による継承が改められて、現在は、大学卒業(国学院と皇學館)と資格取得による就業という制度が整えられています。つまり、誰でも神職につけるようになりました。女性にも開かれています。
外国人で神職につきたい人が出てくるというのは、世俗化が進み多文化の探求を奨励してきた欧米人ならではでしょう。宗教が極めて重要な意味を持っているアジア、アフリカ、中東の出身者だと、親族と断絶することになるし、そういう好奇心をもつ人間もあまり出てこないでしょう。
ただ、外国人が神道に参画する、少なくとも関心をもつ、というのは、日本が多民族多宗教の社会になるならば、重要なことです。多宗教が共存する社会といっても、互いに全く無関心であったり、敵視するようでは、日本の場合、持続は難しいでしょう。
神道は、実のところ、中国の道教、特に民間で行われてきた道教から大きな影響を受けています。陰陽道などを通して、世界観や祭祀儀礼のあり方でも大きな影響を受けています。
道教、仏教、儒教を元が同じし(天道)で相補うものととらえ、社会の基礎に据える、というのも中国では伝統的に有力な発想です。日本における神仏習合もこれに類似したものでしょう。
日本社会で多民族化が進むうえで、宗教はどうでもかまわない、というわけには実際はいきません。「無宗教」の人々だけが日本にやって来るということもないでしょう。日本人の多数が受け入れがたい宗教もあれば、日本社会の現状を受け入れない宗教もあります。
日本社会で多民族化が進むのならば、実際には、北東アジア、中国、台湾、朝鮮半島にルーツをもつ人々が主になるでしょう。神道や仏教の氏子や檀家になるかはともかく、日本の神道や仏教について外国人が理解しやすい、というのは、少なからず有意義なことになると思われます。