行列はもういらない――苦境「クリスピー・クリーム」、新社長の改革
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高校数学からも「行列はもういらない」になっています。
2012年の高校教育新課程から「数学C」が削除され、これ以降行列は高校では一切習わなくなりました。
数学Cは元々教科書が薄っぺらく、扱いも軽かったですし、大学入試において行列が出題されることは比較的稀だったので、入試的にはそれほど大きな影響はないかもしれません。
しかし、行列(線形代数学)は微積分などの解析学に並び、現代の数学や物理学のみならず、あらゆるデータ解析の全般に通底する最重要科目の一つであり(理系大学に進めば必須、あと代数学も重要)、文系の人でもその概念だけでも知っておくことは、世の中がどのように成り立っているのかを知る上で損はないものだと思います。理系大学に入り、線形代数を学ぶにも、その接続がさらに断絶されてしまっていることは、非常に嘆かわしいです。
天気予報や、マーケティングなど、広く使われていて、驚くほど万能。
例えるなら、「Excelなんて要らないよ」と言っているのに近いです。Excel自体、行列そのものですが、もし線形代数を知っていたらExcelの広がりはさらに大きなものになります。
量子力学の演算子の行列表示なんか、世界を知るために数学と物理を学ぶ最大の醍醐味の一つなのに。正直、日本上陸当初に新宿のサザンテラスで大行列に並んで食べたきりです。むっちゃ美味しかったんですけどね。
そこで考えてみました。
あのとき私は行列と目新しさにひかれて、一時間並びました。並んでいるときに「味見どうですか?」と出来立てのドーナツを頂いたのを今でも忘れません。食べたら美味しかったです。こりゃあ病み付きになるわと思いました。
でもその後食べてません。完全にブームに乗った私でした。
なせ行列に並ぶのか。日本人特有という人もいますし、私は基本的には行列には並びません。並んでる時間がもったいないから。合理的に考えれば並ばない方が良い。でも並んで食べて感動したクリスピードーナツに、行列がなかったら入らない私はなんだ。
1つの答えが「周りに美味しいものが溢れすぎてて、選ぶきっかけの1つが行列に並ぶというイベント」のかなと思いました。これなら日本特有なのもうなずける。クリスピー・クリームを、共同出資者として初めて日本に展開しようとしていた玉塚さん(現ローソン顧問)に、アメリカで開催された経営者の会合で、アメリカ在住企業人のわたし達は、これは良案でない、と中止を提案しました。
なぜなら、クリスピー・クリームは本場のアメリカで既に、衰退の兆候を示していて、わざわざ行く店ではなくなって久しくなっていたためです。
しかし玉塚さんは、論理より情熱が上回るためでしょうが、私たち在米企業人の進言に対して、もの凄い勢いで反論してきました。
その後のクリスピー・クリームの日本での実態は、みなさまご存じの通りですが、わたしにはあの玉塚さんの激しい情緒を、今回の報道で思い出しました。