[キングストン(加オンタリオ州) 13日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)のポロズ総裁は13日、カナダ経済について、特に労働市場において多くの未利用の潜在力があるとし、このことはインフレ高進なくして成長を押し上げられる可能性があることを示しているとの考えを示した。

同総裁は講演の原稿で、金利は将来的に上向いていく公算が大きいものの、潜在力の向上がどこまで進展するのか予見できないため、中銀は機械的に対処することはできないと指摘。労働市場は過去1年で「かなり」健全化したものの、なおスラック(需給の緩み)は存在しており、企業投資の活性化のほか、労働市場の反転で生産性が向上し、経済に対する供給が増大する可能性があるとし、こうしたプロセスにはインフレに対する上向きと下向きのリスクの双方が伴うため、中銀は引き続きデータに注目すると述べた。

また、カナダの失業率は低水準にあるものの、広範な指標から経済には「かなりの規模の未利用の供給潜在力」が存在していることが示されていると指摘。「このことは、インフレ高進なくして経済成長を押し上げ、国民1人当たりの所得を増加させられる可能性があることを示しているため重要だ」と述べた。

そのうえで、若者、女性、移民、先住民はすべて潜在力で、カナダの労働力人口は50万人増加し、経済成長率は毎年最大1.5%ポイント押し上げられる可能性があるとの見方を示した。

ただ「カナダ経済について楽観的になる論拠はある」としながらも、中銀は米国の今後の通商政策など他の多くの要因にも注目していると指摘。中銀は将来の動きを検討するに当たり、引き続き慎重な姿勢を維持するとした。

カナダ中銀は2017年7月以降3回の利上げを実施している。

同総裁の講演を受け、カナダドルは対米ドル[CAD/]で弱含んだ。

RBCのエコノミストは「緩やかな利上げ見通しを堅持する内容」と指摘。「インフレ圧力が生じない形で経済が成長する余地を強調しており、全般的にハト派のトーンを打ち出した」と話した。

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