[東京 2日 ロイター] - 共同通信など国内メディアによると、東京地検特捜部は2日、リニア中央新幹線工事を巡る談合事件で、大成建設<1801.T>元常務の大川孝容疑者(67)と鹿島<1812.T>部長の大沢一郎容疑者(60)を独占禁止法違反(不当な取引制限)の容疑で逮捕した。

共同などによると、逮捕容疑は、大林組<1802.T>と清水建設<1803.T>の担当者と共謀し、2014年─15年にJR東海<9022.T>が発注した駅新設工事に関し、見積り価格などで情報を交換し、受注業者を事実上決めた疑い。

国がリニア新幹線の着工を認可した14年から15年にかけて、大手4社の担当者は都内の飲食店などで会合を開き、情報を交換していたという。

リニア新幹線の工事では、品川駅の北工区と南工区は15年、清水建設が代表の共同企業体(JV)と大林組のJVがそれぞれ受注。名古屋駅の中央西工区は16年、大林組のJVが請け負った。

特捜部は17年12月8─9日、名古屋市の非常口新設工事を巡る偽計業務妨害容疑で大林組を家宅捜索。同18─19日には公正取引委員会とともに独禁法違反容疑で4社を捜索し、幹部らの事情聴取を進めてきた。

今回の逮捕について、大成建設広報室は「厳粛に受け止めているが、約3カ月にわたり任意で(捜査に)応じているにもかかわらず逮捕され、到底承服いたしかねる」とコメント。そのうえで「嫌疑を受けている内容は、独禁法違反に該当しないと考えており、捜査の過程で当社の主張を行っていく」としている。

鹿島広報室は「誠に遺憾であり、深くお詫びする。引き続き、当局の捜査に全面的に協力していく」とのコメントを発表した。

(田巻一彦)