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 振り返ると、中国がWTOに正式加盟した2001年前後、アメリカの一部論者は「中国を資本主義体制に組み込めば民主化も進む」などと強調していました。時を近くしてアメリカで9/11同時多発テロが発生し、米国内では「もっと世界のことを知らなければならない」という機運が少し生まれ、「これでアメリカも少しはアジアに目を向けるかな」と思いましたが、結局は中東にかかりきりに。
その間、中国は猛スピードで国力を強める一方、日本で高まる安全保障上の懸念をよそに、アメリカでは地政学上の問題はさほど注目されませんでした。中国の経済成長と国民の生活レベル向上は歓迎すべきものとはいえ、アメリカの世論は安全保障上のリスクを軽視し、「中国の台頭」に対して無邪気過ぎた部分があったことは否めません。
 そんな淡い期待に大きなしっぺ返しが待っていたことを、今になって気づいています。習近平の任期撤廃案を受けて、外交専門誌のForeign Policy誌は「グローバリゼーションが中国というモンスターを生んだ」という見出しを打つほど。
 アフガニスタンのタリバン(前身はムジャヒディン)同様、アメリカはかつて国策として支援した対象から、後に苦しめられるようなことを繰り返してきています。
 中国は、まさにその最大の事例と言えるでしょう。覆水盆に返らず、ですが。
中国共産党の米国に対する姿勢は、歴史的には決して敵対的なものではありませんでした。第二次世界大戦中は、しきりに米国に接触して、支援を得ようとしました。中華人民共和国建国後は、ソ連との同盟関係上、張り子のトラ呼ばわりしたり、東風は西風を圧したと言ってみたりしましたし、何よりも朝鮮戦争で軍事的に衝突しました。しかし、1960年代に中ソ対立が深刻すると米国への接近を図り、ニクソン訪中以降は、同盟に準じるような関係にありました。
改革開放、天安門事件の後でも中国にとっての米国の重要性は増していきました。共産党の子弟はこぞって米国に留学しており、米国内に膨大な資産をもっています。あたかもフィリピンの特権階層が留学や病気の治療で事あるごとに米国に行っているような様です。

問題は、今になって中国は本当に米国に敵対する必要があるのか、ということです。日本もロシアも今や敵ではなく、あとは米国を制すれば覇権を握れる、まさにこのタイミングで米国は東アジアやインド洋に関与する力を弱めている、といわれればいかにももっともに聞こえます。しかし、中国の覇権というのがいかなるものなのか、明確に示されているようには見えません。
一帯一路というのは中国の投資やインフラ整備による共存共栄の構想を示しているように見えますが、覇権国家の構想というには非常に不十分です。国際的な通貨制度や貿易体制、安全保障体制はどのようなものにするのか、中国がそこでどのような役割を果たすのか、米国に代わる代替の構想が示されているとは言えないし、中国共産党内で共有されているとは思えません。
一帯一路だけなら、そこまで米国の利益と対立するものなのか、軍事的優勢を確保しなければ資源や市場の確保ができないのか、大いに検討する余地があると思われます。
覇権の構想がないにもかかわらず、まず軍事的優勢を確立しようとした国の例は古今東西に多くあります。習近平政権も、それが本当に必要なのか、それが本当に中国に利益をもたらすのか、十分な検討がなく、軍事的強勢の確立を打ち上げて予算と軍備の拡大がどんどん進み、止められないところまできているように見えます。
中国で感じたのは、アメリカ、日本の対中包囲網です。
基本的に安倍首相の打ち出している「自由で開かれたインド洋太平洋戦略」をアメリカに受け入れてもらい、アメリカ、日本、オーストラリア、インドによる対中包囲網です。
今年のトランプの発言、アメリカの出したいくつかの政府文章から見て、中国とイデオロギーの対立をする態度を鮮明にしています。
別に中国のために弁解するつもりはありませんが、中国の政府高官、中国政府の公式文章からアメリカと対立する文言、安倍先生のような明確に中国を牽制するインド洋太平洋戦略は、中国は日本に対して出していません。
新冷戦がやってくるといえば、アメリカ、日本によって仕掛けてきた冷戦というイメージもあるでしょう。
中国の軍事費がアメリカに比肩するようになるのはそう遠くないことだろう。ただし中国の軍事力はあくまでも内政向け、権力維持の装置であって、アメリカのように対外的なパワープロジェクション能力を有しているわけではない。つまり質的にはまだそれ程の脅威にはならないが、我が国としてはそれまでに米韓や東南アジア諸国、インドと連合して、重層的な安全保障体制を築き上げておく必要がある。意外と将来のキャスティングボードを握るのは、1930年代と同じくロシアかもしれない。