米大使館、5月にエルサレム移転 パレスチナ反発
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現在のエルサレム総領事館に看板だけ下げる、という最短の方策になったようです。先日の国連安保理の議論でパレスチナ側の譲歩が得られないとみて、米が単独で進むと決めたのでしょうか。しかしここでもロシアが仲介者としてでて来そうですし、「東エルサレムを首都とするパレスチナ国家の承認」を行う国も出てくるかもしれません。
ここまでの時点で、エルサレムを「イスラエルの首都」と認定したことやアメリカ大使館移転についての表明云々でイスラーム過激派による攻撃事件は起きていません。この点で、エルサレムの問題に対するアメリカ政府の態度が「パンドラの箱を開けた」とか「混乱を惹起」とか「それによりリスクが増大」という見通しは正しくなかったと言えますし、それ故大使館の移転に向けた準備も淡々と進むということでしょう。残念ですが、パレスチナやアラブやムスリムがいくら「反発」してもこの動きを止めることはできていません。「反発」以上のことをしてアメリカ政府なりイスラエル政府なりにこの動きを止めるような影響を及ぼすことができるかどうかが課題です。
米大使館の移転自体は象徴的なことで、パレスティナ政府を挑発するための道具立てに過ぎないでしょう。何のための挑発かというと、パレスティナ人勢力を外交交渉のテーブルから立たせること、そのうえで、イスラエル国内からパレスティナ人勢力を可能な限り退去させるためでしょう(まずヨルダン川西岸地区から)。長期的にはアラブ人の人口が増え続けますから、早いうちに国内のアラブ人人口を減らしたいのでしょう。
現に、パレスティナ政府は、米大使館移転の発表を受けて、「米国を仲介役として認めない」と声明し、交渉のテーブルを立っています。満州事変の後に日本が国際連盟を脱退した例のように、追い詰められた側が交渉のテーブルを立っても、情勢が好転することはありません。イスラエルからすれば、交渉はパレスティナ側から打ち切ったのだから、実力行使するしかない、という口実になります。
パレスティナ政府な米国の代わりにフランスなどに仲介を依頼するといっていますが、イスラエル側が相手にしないでしょう。