[サンフランシスコ 12日 ロイター] - 米企業は業績の好調やトランプ減税によって手元の現金が増えており、潤沢なキャッシュを元手にした自社株買いの回復が米株式市場を支えそうだ。

ゴールドマン・サックスは調査ノートで最近の米株価急落について、四半期決算を控えた多くの企業が一時的に自社株買いを縮小したため下げがきつくなったようだと指摘した。

企業は違法なインサイダー取引を防ぐため、四半期決算発表前に自社株買いを停止することが多い。

しかし多くの米企業は決算発表を終え、全体では第4・四半期利益がアナリスト予想を超えており、自社株買いが再開されて株式市場の安定回復に寄与するかもしれない。

自社株買いのためのデータ分析を請け負うモダンIRによると、多くの顧客企業がこの数日で自社株買いを増やした。

ティム・クアスト社長は「決算発表後に顧客の大手企業が活発に自社株買いを行っている。株式市場が大幅に下落し、(自社株買いに)現金を使う好機だ」と述べた。

例えば鉄道輸送大手CSX<CSX.O>は12日、増配とともに来年の自社株買いを50億ドルに拡大すると発表し、その後株価が急伸した。

一部の企業は最高財務責任者(CFO)が株価の変化を見極めつつ、巧妙に自社株を買っている。

テーミス・トレーディングのトレーディング部門共同マネジャー、ジョー・サルッツィ氏は、先の株式市場急落は自社株買いが細ったのが一因と指摘した上で、「市場に自社株買いが戻れば流れは強気に向かう」との見方を示した。

法人税率の引き下げを盛り込んだトランプ減税の成立を受けて、米企業はこのところ相次いで業績見通しを引き上げ、設備投資の上積みや自社株買い拡大の方針を示している。

トムソン・ロイター・エスティメーツによると、現在の決算シーズンに、S&P総合500種構成企業の第4・四半期利益は前年同期比14.8%増加した。

フェデレーテッド・インベスターズのポートフォリオマネジャー、スティーブ・シャバロン氏は「周知の通り、利用可能なキャッシュは増えている。このキャッシュは自社株買い、増配、設備投資やM&Aなどに充当されると見込んでおり、いずれも株式市場にとって追い風になる」と述べた。

(Noel Randewich記者)