[ベルリン 14日 ロイター] - ドイツ商工会議所(DIHK)は14日、米国が鉄鋼輸入品などに関税を導入することになれば、主要貿易相手国との貿易戦争を招く可能性があるとの認識を示した。アナリストの間からも、独成長率を最大1%ポイント押し下げる恐れがあるとの声が聞かれた。

トランプ米大統領は前日、輸入する鉄鋼やアルミニウム製品が米メーカーに打撃を与えている問題に対応するため、関税や数量制限の導入など、多岐にわたる選択肢を検討していると語った。

DIHKのマネジング・ディレクター、マーティン・ワンズレベン氏は、関税の導入はいずれ価格上昇や世界的な貿易戦争という形で、米消費者に打撃を与えると指摘。さらに「米政府は関税導入案によって、税制改革による投資へのプラスの恩恵を台無しにする」とけん制した。

影響は企業にも及ぶとし、「税制改革による節税は魅力的だが、新たな輸入障壁によって価格は上昇し、海外の生産チェーンは混乱を来たす可能性がある」と語った。

ベレンバーグのエコノミスト、フロリアン・ヘンセ氏は、関税や他の貿易障壁の導入に伴う最悪のシナリオとして、本格的な貿易戦争が引き起こされ、独成長率を最大1%ポイント低下させる可能性があるとの認識を示した。 

ただ「このシナリオが具現化する公算は小さい」とし、米国が輸入制限を一部セクターに限定するなど、局部的な措置にとどまる可能性が高いと述べた。

対米輸出はドイツ国内総生産(GDP)の約40%を占めている。