[ワシントン 14日 ロイター] - 米労働省が14日発表した1月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.5%上昇と、市場予想の0.3%上昇を上回った。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは前月比0.3%上昇と、2017年1月以来、1年ぶりの大幅な伸びとなった。市場予想は0.2%上昇だった。米連邦準備理事会(FRB)が今年、利上げのペースを上げるとの見方を後押しする。

統計は金融市場にさらなる影響を与えた。金融市場では既に、1月の賃金の伸びが加速したことで物価上昇への懸念が浮上し、乱高下していた。

統計を受けて米国債価格が値下がりしたほか、ドル指数<.DXY>は上昇後、下落に転じた。序盤の米国株式市場は下落したが、下げ幅を縮小した。

労働市場の引き締まりと政府支出の増大が物価上昇圧力の背景にあるとみられている。物価上昇の兆しを受けFRBが、予想よりも速いペースで利上げを進めるとの不安が広がっている。利上げペースが加速すれば経済成長は鈍化する。FRBは今のところ今年3回利上げする見通しを示している。最初の利上げは3月とみられる。

PNCフィナンシャルの首席エコノミスト、ガス・ファウチャー氏は「FRBの仕事は今、景気過熱を防ぐことだ」と述べる。「最近導入された減税政策と議会での予算協議の合意で複雑になっている」と付け加えた。

CPIの前年同月比は12月から横ばいの2.1%上昇。コアCPIは横ばいの1.8%上昇だった。CPIよりもコアCPIの方が基調的な物価の動向をより正確に反映するとみられている。

FRBは個人消費支出(PCE)物価のコア指数を物価の目安としており、これは12年半ば以降目標の2%を下回り続けている。

1時間あたりの平均賃金は前年同月比2.9%上昇と、09年6月以来の大幅な伸びとなった。昨年12月は2.7%上昇していた。

今年は労働市場が最大雇用状態になる中で賃金の伸びが加速し、物価上昇の一因となるとみられる。1兆5000億ドル規模の減税政策や政府支出の増大もまた物価の押し上げ要因となるだろう。

インフレ加速は消費支出を圧迫する恐れもある。 米商務省が発表した1月の小売売上高は前月比0.3%減と、2017年2月以来、11カ月ぶりの大幅な落ち込みとなった。

ただ、底堅い労働市場や賃金上昇、減税が引き続き消費支出の追い風となっている。

BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、ジェニファー・リー氏は、消費者が失われた期間を将来の支出で補う可能性を指摘した。

CPIの前月比の内訳は、ガソリンが5.7%上昇し、12月の0.8%下落から持ち直した。原油価格は1月に、世界的な底堅い需要とドル安を背景に値上がりした。食品は0.2%上昇。ドル安が影響したとみられる。

コアCPIの押し上げ要因は賃貸家賃だった。帰属家賃は0.3%上昇。12月も0.3%上昇していた。医療サービスは0.4%上昇。中でも病院サービスが1.3%上昇し、著しい値上がりだった。診察費は0.3%上昇した。衣料は1.7%上昇し、1990年2月以来の大幅な値上がりだった。自動車保険も値上がりし、2001年11月以来の大幅上昇となった。パーソナルケア製品は3年ぶりの大幅プラスだった。

一方、航空運賃が3カ月連続で低迷、新車は0.1%下落した。娯楽と通信、酒類は横ばいだった。

1月の統計で労働省は計算方法を改めた。中古車の物価はこれまでの3カ月移動平均から月々の値動きを算出するようになった。スマートフォンの値動きは技術進歩の急速なペースなどを勘案して品質に応じて調整されている。

*内容を追加しました。