[デイトン(米オハイオ州) 13日 ロイター] - 米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は13日、株式市場のこのところの大幅な売りとボラティリティーの高まりにより、経済の全般的な堅調な見通しは影響を受けないとの見方を示し、金融市場の振れに過度に反応することに対し警告した。

同総裁は主要株式指数が10%以上下落した今回の株価急落について、「株式相場の一段と深く、かつ根強い下落により信頼感が損なわれ、リスク選好度の低下と消費抑制につながる可能性はあるが、今回の動きはこうしたシナリオからは程遠い」と述べた。

そのうえで、今回の株安は株価が過去最高水準を更新し続けた後に起きた下落であるとし、「経済は今回の市場の動乱を切り抜けられると現時点で考えており、自分自身の見通しは変えていない。自分自身の見方では、経済の基調的なファンダンメンタルズ(基礎的条件)は非常に健全である」と述べた。

米国では昨年末に税制改革法案が成立。また、トランプ政権がこのほど発表した4兆4000億ドル規模に達する2019会計年度(18年10月─19年9月)の予算教書などで米国の連邦赤字は拡大するとみられている。

メスター総裁はこれらにより、成長やインフレなどがFRBの対応が必要になるほど見通しを上回る可能性があると指摘。「見通しに対する顕著な上振れリスクが増大している」とし、こうしたことはこれまで長い間見られなかったと述べた。ただ、実際にどうなるかは詳細を見極める必要があるとの認識も示した。

連邦準備理事会(FRB)の金融政策については、3回の利上げを実施した「昨年と同様の」ペースで利上げしていくべきと現時点では考えているとし、インフレは今年は上向くが、FRBが対応を迫られるほどのペースにはならないとの考えを示した。

また、減税により経済成長率は向こう数年間は0.25─0.50%ポイント押し上げられ、これにより継続的な雇用が支援されるとともに、経済成長率はトレンドとなっている2%を超える水準で推移するとの見方を示した。ただ減税の長期的な影響は不明で、特に企業が減税の恩恵を新規投資や新規雇用に充てるかは分からないと述べた。